はじめに
富山県庁を志望する受験生の皆さん、自治体研究は進んでいますか?
私が県庁を受験したとき、最初は「地元で安定した仕事に就きたい」という程度の気持ちでした。でも、自治体研究を進めるうちに、富山県の持つユニークな特徴に気づいたんです。全国トップクラスの持ち家率、三世代同居率、充実した子育て環境「暮らしやすさ」を追求してきた県政の積み重ねがここにある。そして、北陸新幹線の開業や立山黒部アルペンルートなど、日本海側の拠点として新しい可能性も広がっている。この県で、人々の暮らしを支える仕事がしたいと強く思うようになりました。
この記事では、富山県庁の組織構造や具体的な業務内容、実際の職場環境について、現役職員の視点から詳しく解説していきます。志望動機の作り方や面接対策のヒントも盛り込んでいますので、ぜひ最後までお読みください。
富山県庁の基本情報と組織概要
富山県は本州日本海側のほぼ中央に位置し、北は日本海に面し、南東には標高3,000m級の立山連峰がそびえる、豊かな自然環境に恵まれた県です。三方を山に囲まれた地形から「天然の要塞」とも称されます。
主な基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 人口 | 約103万人(全国第37位) |
| 面積 | 4,248平方キロメートル |
| 職員数 | 約3,500人(知事部局・教育委員会等含む) |
| 一般会計予算 | 約6,000億円規模 |
| 市町村数 | 10市4町1村 |
富山県の特徴は、その「暮らしやすさ」と「ものづくり力」にあります。持ち家率は全国第1位、三世代同居率も全国トップクラスで、家族の絆が強い地域として知られています。また、共働き率も全国トップクラスで、女性の就業率の高さも特徴的です。
産業面では、医薬品産業が盛んで「薬都とやま」として約400年の歴史を持ちます。また、アルミニウム産業、機械工業、化学工業など、ものづくり産業が県経済を支えています。製造品出荷額等は約3兆円で、人口あたりでは全国上位に位置します。
北陸新幹線の開業により、東京から最短2時間8分でアクセス可能となり、観光やビジネスでの交流が拡大しています。立山黒部アルペンルート、五箇山合掌造り集落(世界遺産)、富山湾の海の幸など、観光資源も豊富です。
富山県庁の組織は本庁のほか、県内各地に総合県民事務所や出先機関があります。私はこれまで本庁と総合県民事務所の両方を経験しましたが、富山県は県全体がコンパクトにまとまっているため、県民との距離が近いと感じます。本庁でも地域の声が届きやすく、施策が県民にどう影響するかを常に意識しながら仕事ができます。また、富山県は「日本一の幸せ都道府県」を目指しており、職員一人ひとりが県民の幸せを考えながら働いている実感があります。規模は大きすぎず、顔の見える関係で仕事ができるのが魅力だと思います。
(富山県庁職員・入庁6年目)
富山県庁の業務の特徴
富山県庁の業務は、県の特性を反映して多岐にわたります。主な業務分野をご紹介します。
ものづくり産業の振興
医薬品産業、アルミニウム産業、機械工業など、富山県の基幹産業を支援する施策が重要です。企業の技術力強化、販路開拓支援、人材育成、企業誘致などが積極的に行われています。特に「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造計画では、医薬品産業の更なる集積を目指しています。
観光振興・ブランド戦略
立山黒部アルペンルート、五箇山合掌造り集落、富山湾の海の幸(寒ブリ、白エビ、ホタルイカなど)など、豊富な観光資源を活かした誘客促進が展開されています。北陸新幹線の開業効果を最大化するため、首都圏や関西圏への情報発信も強化されています。
子育て支援・女性活躍推進
全国トップクラスの共働き率を支えるため、保育環境の充実、放課後児童クラブの整備、病児保育の充実など、子育て支援が手厚く行われています。また、女性の活躍推進、ワークライフバランスの実現にも力を入れています。
農林水産業の振興
富山米のブランド化、園芸作物の振興、中山間地域の農業支援、森林の適切な管理、富山湾の豊かな漁業資源の保全と活用などが重要な政策課題です。特に「富山米」「富山和牛」などのブランド力強化に取り組んでいます。
環境・エネルギー政策
立山連峰から富山湾まで、多様な自然環境を保全する取り組みが行われています。また、2050年カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギーの導入促進、省エネ対策、小水力発電の活用なども進められています。「環境に優しく、持続可能な県づくり」が目指されています。
福祉・医療
高齢化が進む中、地域医療体制の充実、地域包括ケアシステムの構築、医師・看護師の確保、介護人材の育成などが重要です。また、障害者支援、生活困窮者支援など、誰もが安心して暮らせる社会づくりに取り組んでいます。
教育・人材育成
県立高校・特別支援学校の運営、私立学校への支援、ICT教育の推進、グローバル人材の育成などに取り組んでいます。また、若者の県内定着を促進するため、キャリア教育や就職支援にも力を入れています。
交通・インフラ整備
北陸新幹線の県内全線開業(金沢~敦賀)を見据えた受け入れ態勢整備、道路網の整備、港湾機能の強化、公共交通の維持などが重要です。また、あいの風とやま鉄道の安定運営支援も行われています。
防災・減災対策
地震や豪雨、土砂災害、豪雪などへの備えとして、防災インフラの整備、防災体制の強化、自主防災組織の育成などが進められています。また、立山カルデラの土砂災害対策など、独自の課題にも対応しています。
入庁してから、商工労働部→農林水産部→土木部と異動してきました。最初は「また一から勉強か…」と思うこともありましたが、今ではこの経験が私の強みです。ものづくり企業の現場を知り、農業の課題を理解し、インフラの重要性を実感する——これらの経験が、今の仕事にも活きています。富山県庁の職員は「ゼネラリスト」として育成されますが、それは県の様々な課題に対応できる幅広い視野を持つためだと理解しています。一つの専門を深く極めたい人には物足りないかもしれませんが、多様な経験を積みながら成長したい人には最適な環境だと思います。
(富山県庁職員・入庁6年目)
富山県庁の代表的な政策・取り組み事例
富山県が現在力を入れている主な政策を紹介します。面接でもよく問われるテーマですので、しっかり理解しておきましょう。
1. 「元気とやま創造計画」
県の総合計画として、「幸せ人口1000万」を目標に掲げ、県民の幸福度向上、交流人口の拡大、活力ある産業の発展などに取り組んでいます。「幸せ先進県とやま」の実現を目指した総合的な施策が特徴です。
2. くすりのシリコンバレーTOYAMA創造計画
医薬品産業の更なる集積と発展を目指し、新薬開発支援、バイオベンチャー育成、医薬品関連企業の誘致、人材育成などを推進しています。約400年の歴史を持つ「薬都とやま」の伝統を活かした先進的な取り組みです。
3. 北陸新幹線の県内全線開業効果の最大化
金沢~敦賀間の開業効果を最大化するため、観光振興、企業誘致、移住促進、二次交通の充実などに取り組んでいます。また、敦賀~大阪間の早期実現に向けた要望活動も行われています。
4. 子育て支援日本一を目指す取り組み
「子育て支援・少子化対策条例」に基づき、保育環境の充実、経済的支援、働き方改革、結婚支援など、切れ目ない子育て支援を展開しています。保育所待機児童ゼロの維持や、第3子以降保育料無料化などの施策が実施されています。
5. 世界で最も美しい富山湾の保全と活用
「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟する富山湾の豊かな海洋資源を保全しつつ、観光資源として活用する取り組みが進められています。富山湾鮨、海洋深層水の利用、海洋プラスチックごみ対策などが展開されています。
6. とやま観光未来創造戦略
立山黒部アルペンルート、五箇山合掌造り集落、富山湾の海の幸など、富山県の多様な観光資源を活かし、国内外からの誘客を促進しています。体験型観光の充実、インバウンド対応の強化なども進められています。
7. カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギー対策、森林吸収源対策、水素エネルギーの利活用などを推進しています。豊富な水資源を活かした小水力発電の普及にも力を入れています。
8. スマート農林水産業の推進
ICTやロボット技術を活用したスマート農業の導入支援、ドローンによる農薬散布、自動運転トラクターの普及など、先端技術を活用した農林水産業の振興が進められています。
9. UIJターンの促進と移住・定住支援
首都圏や関西圏からのUIJターンを促進するため、移住相談窓口の設置、住宅支援、就職支援、お試し移住体験などを展開しています。「くらしたい国、富山」をキャッチフレーズに、富山の暮らしやすさを全国に発信しています。
これらの施策について、自分なりの意見や関心を持っておくと、面接で説得力のある回答ができます。
勤務環境・職員文化
異動サイクル
富山県庁の異動は、概ね3〜5年程度のサイクルで行われます。若手職員の場合、幅広い経験を積むために比較的短期間で異動することもあります。本庁と総合県民事務所・出先機関を行き来することも多く、県内各地での勤務を経験する職員が多いのが特徴です。
本庁勤務の場合は富山市(県庁所在地)での勤務となりますが、富山県はコンパクトな県土であるため、県内のほとんどの地域から通勤可能です。職員住宅も用意されており、転居を伴う異動の場合も安心です。
働き方改革の取り組み
富山県庁でも働き方改革が進められており、以下のような取り組みが実施されています。
- フレックスタイム制度:一部の部署で導入され、柔軟な勤務が可能
- テレワーク:コロナ禍を機に導入が進み、現在も活用されている
- ノー残業デー:週に1回、定時退庁を推奨
- 年次有給休暇の取得促進:計画的な取得を推奨
- 育児・介護との両立支援:短時間勤務制度、部分休業制度など
- イクボス宣言:管理職が率先して働き方改革を推進
ただし、部署によって業務量や性質は大きく異なります。議会対応や予算編成、災害対応などの時期は忙しくなる部署もあれば、比較的落ち着いて働ける部署もあります。
職場の雰囲気
富山県庁の職場文化は、真面目で堅実、協調性を重視する傾向があります。富山県民の県民性である「勤勉」「堅実」が職場にも反映されており、コツコツと着実に仕事を進める文化があります。
先輩職員が後輩を丁寧に指導する文化があり、困ったときに相談しやすい環境が整っています。組織の規模も適度で、職員同士の顔が見える関係が築きやすく、温かみのある職場が多いと感じます。
また、県民との距離が近く、施策が県民にどう届いているかを実感しやすい環境です。地域に根ざした仕事ができることも、富山県庁で働く魅力の一つです。
職員の声(体験談)
Kさん(入庁6年目・商工労働部)
私が富山県庁を志望したのは、地元富山のものづくり産業を支えたいと思ったからです。富山県には、世界に誇る技術を持つ企業がたくさんあります。大学で経営学を学ぶ中で、地域経済を支える中小企業の重要性を理解し、「富山の企業を支援する仕事がしたい」という思いが強くなりました。
入庁後は最初、総務部門に配属されました。正直「産業振興がやりたかったのに…」と思いましたが、この経験が今になって活きています。予算編成や議会対応など、県政の基本的な仕組みを学べたことで、今の産業振興の仕事でも、実現可能性を意識した施策を考えられるようになりました。
その後、念願の商工労働部に異動し、現在は中小企業の経営支援を担当しています。県内には約4万社の中小企業があり、雇用の多くを支えています。経営相談、融資制度の運営、販路開拓支援など、様々な角度から企業を支える仕事に携わっています。
印象に残っているのは、県内の製造業企業が新技術を開発する際に伴走支援したことです。補助金の申請サポートから、専門家のマッチング、展示会への出展支援まで、長期間関わりました。その企業が新製品を発表し、大手企業との取引が決まったときは、自分のことのように嬉しかったです。
受験生の皆さんへ。面接では「なぜ富山県なのか」を深く考えてください。富山県は、暮らしやすさとものづくりの技術を両立させてきた県です。その特性を理解し、自分がどう貢献できるかを語れるようにしてほしいです。富山県庁は、県民との距離が近く、自分の仕事が確実に地域に届く実感がある職場です。
Lさん(入庁4年目・厚生部)
私は県外出身で、大学時代を富山で過ごしました。卒業後は地元に戻ることも考えましたが、富山で働くことを決めました。理由は、富山県の「暮らしやすさ」と「子育てしやすさ」です。持ち家率が高く、三世代同居も多い。共働き率も高く、女性が働きやすい環境が整っている。この環境を守り、さらに良くする仕事がしたいと思いました。
現在は子育て支援の部署で、保育所の整備促進や病児保育の充実、子育て世帯への経済的支援などに携わっています。富山県は「子育て支援日本一」を目指しており、様々な施策が展開されています。
印象に残っているのは、子育て中の保護者の方々との意見交換会に参加したことです。現場の生の声を聞くことで、制度の改善点が見えてきました。「こんな支援があったら助かる」という声を、実際の施策に反映できたときは、大きなやりがいを感じました。
富山県庁の魅力は、「県民との距離の近さ」だと思います。人口が約100万人という規模だからこそ、一人ひとりの県民の顔が見える仕事ができます。また、富山県は「日本一の幸せ都道府県」を目指しており、職員一人ひとりが県民の幸せを考えながら働いています。その雰囲気が好きです。
受験生の皆さん、試験勉強は大変だと思いますが、「県庁で何をしたいか」というビジョンを持つことで、モチベーションを維持できます。富山県を実際に訪れて、地域の魅力や暮らしやすさを体感してみてください。そこで感じたことを、志望動機につなげていくと良いと思います。応援しています!
給料・年収・福利厚生
初任給(大卒行政職)
富山県庁の初任給は、地方公務員の給与体系に基づいて設定されています。
| 学歴 | 初任給(月額・目安) |
|---|---|
| 大学卒(上級) | 約188,000円 |
| 短大卒(中級) | 約168,000円 |
| 高校卒(初級) | 約156,000円 |
※上記は基本給の目安であり、扶養手当や通勤手当などは別途支給されます。
年収の目安
年齢や役職によって異なりますが、概ね以下のような目安になります。
| 年代・役職 | 年収目安 |
|---|---|
| 20代(一般職員) | 約350万円〜450万円 |
| 30代(主任級) | 約500万円〜650万円 |
| 40代(課長補佐級) | 約650万円〜800万円 |
| 50代(管理職) | 約800万円〜1,000万円 |
【現役職員が語る】富山県庁の仕事内容|組織体制・面接対策・試験倍率を徹底解説
はじめに
富山県庁を志望する受験生の皆さん、自治体研究は進んでいますか?
私が県庁を受験したとき、最初は「地元で安定した仕事に就きたい」という程度の気持ちでした。でも、自治体研究を進めるうちに、富山県の持つユニークな特徴に気づいたんです。全国トップクラスの持ち家率、三世代同居率、充実した子育て環境——「暮らしやすさ」を追求してきた県政の積み重ねがここにある。そして、北陸新幹線の開業や立山黒部アルペンルートなど、日本海側の拠点として新しい可能性も広がっている。この県で、人々の暮らしを支える仕事がしたいと強く思うようになりました。
この記事では、富山県庁の組織構造や具体的な業務内容、実際の職場環境について、現役職員の視点から詳しく解説していきます。志望動機の作り方や面接対策のヒントも盛り込んでいますので、ぜひ最後までお読みください。
富山県庁の基本情報と組織概要
富山県は本州日本海側のほぼ中央に位置し、北は日本海に面し、南東には標高3,000m級の立山連峰がそびえる、豊かな自然環境に恵まれた県です。三方を山に囲まれた地形から「天然の要塞」とも称されます。
主な基本データ
<table> <thead> <tr> <th>項目</th> <th>内容</th> </tr> </thead> <tbody> <tr> <td>人口</td> <td>約103万人(全国第37位)</td> </tr> <tr> <td>面積</td> <td>4,248平方キロメートル</td> </tr> <tr> <td>職員数</td> <td>約3,500人(知事部局・教育委員会等含む)</td> </tr> <tr> <td>一般会計予算</td> <td>約6,000億円規模</td> </tr> <tr> <td>市町村数</td> <td>10市4町1村</td> </tr> </tbody> </table>
富山県の特徴は、その「暮らしやすさ」と「ものづくり力」にあります。持ち家率は全国第1位、三世代同居率も全国トップクラスで、家族の絆が強い地域として知られています。また、共働き率も全国トップクラスで、女性の就業率の高さも特徴的です。
産業面では、医薬品産業が盛んで「薬都とやま」として約400年の歴史を持ちます。また、アルミニウム産業、機械工業、化学工業など、ものづくり産業が県経済を支えています。製造品出荷額等は約3兆円で、人口あたりでは全国上位に位置します。
北陸新幹線の開業により、東京から最短2時間8分でアクセス可能となり、観光やビジネスでの交流が拡大しています。立山黒部アルペンルート、五箇山合掌造り集落(世界遺産)、富山湾の海の幸など、観光資源も豊富です。
富山県庁の組織は本庁のほか、県内各地に総合県民事務所や出先機関があります。私はこれまで本庁と総合県民事務所の両方を経験しましたが、富山県は県全体がコンパクトにまとまっているため、県民との距離が近いと感じます。本庁でも地域の声が届きやすく、施策が県民にどう影響するかを常に意識しながら仕事ができます。また、富山県は「日本一の幸せ都道府県」を目指しており、職員一人ひとりが県民の幸せを考えながら働いている実感があります。規模は大きすぎず、顔の見える関係で仕事ができるのが魅力だと思います。
(富山県庁職員・入庁6年目)
富山県庁の業務の特徴
富山県庁の業務は、県の特性を反映して多岐にわたります。主な業務分野をご紹介します。
ものづくり産業の振興
医薬品産業、アルミニウム産業、機械工業など、富山県の基幹産業を支援する施策が重要です。企業の技術力強化、販路開拓支援、人材育成、企業誘致などが積極的に行われています。特に「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造計画では、医薬品産業の更なる集積を目指しています。
観光振興・ブランド戦略
立山黒部アルペンルート、五箇山合掌造り集落、富山湾の海の幸(寒ブリ、白エビ、ホタルイカなど)など、豊富な観光資源を活かした誘客促進が展開されています。北陸新幹線の開業効果を最大化するため、首都圏や関西圏への情報発信も強化されています。
子育て支援・女性活躍推進
全国トップクラスの共働き率を支えるため、保育環境の充実、放課後児童クラブの整備、病児保育の充実など、子育て支援が手厚く行われています。また、女性の活躍推進、ワークライフバランスの実現にも力を入れています。
農林水産業の振興
富山米のブランド化、園芸作物の振興、中山間地域の農業支援、森林の適切な管理、富山湾の豊かな漁業資源の保全と活用などが重要な政策課題です。特に「富山米」「富山和牛」などのブランド力強化に取り組んでいます。
環境・エネルギー政策
立山連峰から富山湾まで、多様な自然環境を保全する取り組みが行われています。また、2050年カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギーの導入促進、省エネ対策、小水力発電の活用なども進められています。「環境に優しく、持続可能な県づくり」が目指されています。
福祉・医療
高齢化が進む中、地域医療体制の充実、地域包括ケアシステムの構築、医師・看護師の確保、介護人材の育成などが重要です。また、障害者支援、生活困窮者支援など、誰もが安心して暮らせる社会づくりに取り組んでいます。
教育・人材育成
県立高校・特別支援学校の運営、私立学校への支援、ICT教育の推進、グローバル人材の育成などに取り組んでいます。また、若者の県内定着を促進するため、キャリア教育や就職支援にも力を入れています。
交通・インフラ整備
北陸新幹線の県内全線開業(金沢~敦賀)を見据えた受け入れ態勢整備、道路網の整備、港湾機能の強化、公共交通の維持などが重要です。また、あいの風とやま鉄道の安定運営支援も行われています。
防災・減災対策
地震や豪雨、土砂災害、豪雪などへの備えとして、防災インフラの整備、防災体制の強化、自主防災組織の育成などが進められています。また、立山カルデラの土砂災害対策など、独自の課題にも対応しています。
入庁してから、商工労働部→農林水産部→土木部と異動してきました。最初は「また一から勉強か…」と思うこともありましたが、今ではこの経験が私の強みです。ものづくり企業の現場を知り、農業の課題を理解し、インフラの重要性を実感する——これらの経験が、今の仕事にも活きています。富山県庁の職員は「ゼネラリスト」として育成されますが、それは県の様々な課題に対応できる幅広い視野を持つためだと理解しています。一つの専門を深く極めたい人には物足りないかもしれませんが、多様な経験を積みながら成長したい人には最適な環境だと思います。
(富山県庁職員・入庁6年目)
富山県庁の代表的な政策・取り組み事例
富山県が現在力を入れている主な政策を紹介します。面接でもよく問われるテーマですので、しっかり理解しておきましょう。
1. 「元気とやま創造計画」
県の総合計画として、「幸せ人口1000万」を目標に掲げ、県民の幸福度向上、交流人口の拡大、活力ある産業の発展などに取り組んでいます。「幸せ先進県とやま」の実現を目指した総合的な施策が特徴です。
2. くすりのシリコンバレーTOYAMA創造計画
医薬品産業の更なる集積と発展を目指し、新薬開発支援、バイオベンチャー育成、医薬品関連企業の誘致、人材育成などを推進しています。約400年の歴史を持つ「薬都とやま」の伝統を活かした先進的な取り組みです。
3. 北陸新幹線の県内全線開業効果の最大化
金沢~敦賀間の開業効果を最大化するため、観光振興、企業誘致、移住促進、二次交通の充実などに取り組んでいます。また、敦賀~大阪間の早期実現に向けた要望活動も行われています。
4. 子育て支援日本一を目指す取り組み
「子育て支援・少子化対策条例」に基づき、保育環境の充実、経済的支援、働き方改革、結婚支援など、切れ目ない子育て支援を展開しています。保育所待機児童ゼロの維持や、第3子以降保育料無料化などの施策が実施されています。
5. 世界で最も美しい富山湾の保全と活用
「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟する富山湾の豊かな海洋資源を保全しつつ、観光資源として活用する取り組みが進められています。富山湾鮨、海洋深層水の利用、海洋プラスチックごみ対策などが展開されています。
6. とやま観光未来創造戦略
立山黒部アルペンルート、五箇山合掌造り集落、富山湾の海の幸など、富山県の多様な観光資源を活かし、国内外からの誘客を促進しています。体験型観光の充実、インバウンド対応の強化なども進められています。
7. カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギー対策、森林吸収源対策、水素エネルギーの利活用などを推進しています。豊富な水資源を活かした小水力発電の普及にも力を入れています。
8. スマート農林水産業の推進
ICTやロボット技術を活用したスマート農業の導入支援、ドローンによる農薬散布、自動運転トラクターの普及など、先端技術を活用した農林水産業の振興が進められています。
9. UIJターンの促進と移住・定住支援
首都圏や関西圏からのUIJターンを促進するため、移住相談窓口の設置、住宅支援、就職支援、お試し移住体験などを展開しています。「くらしたい国、富山」をキャッチフレーズに、富山の暮らしやすさを全国に発信しています。
これらの施策について、自分なりの意見や関心を持っておくと、面接で説得力のある回答ができます。
勤務環境・職員文化
異動サイクル
富山県庁の異動は、概ね3〜5年程度のサイクルで行われます。若手職員の場合、幅広い経験を積むために比較的短期間で異動することもあります。本庁と総合県民事務所・出先機関を行き来することも多く、県内各地での勤務を経験する職員が多いのが特徴です。
本庁勤務の場合は富山市(県庁所在地)での勤務となりますが、富山県はコンパクトな県土であるため、県内のほとんどの地域から通勤可能です。職員住宅も用意されており、転居を伴う異動の場合も安心です。
働き方改革の取り組み
富山県庁でも働き方改革が進められており、以下のような取り組みが実施されています。
- フレックスタイム制度:一部の部署で導入され、柔軟な勤務が可能
- テレワーク:コロナ禍を機に導入が進み、現在も活用されている
- ノー残業デー:週に1回、定時退庁を推奨
- 年次有給休暇の取得促進:計画的な取得を推奨
- 育児・介護との両立支援:短時間勤務制度、部分休業制度など
- イクボス宣言:管理職が率先して働き方改革を推進
ただし、部署によって業務量や性質は大きく異なります。議会対応や予算編成、災害対応などの時期は忙しくなる部署もあれば、比較的落ち着いて働ける部署もあります。
職場の雰囲気
富山県庁の職場文化は、真面目で堅実、協調性を重視する傾向があります。富山県民の県民性である「勤勉」「堅実」が職場にも反映されており、コツコツと着実に仕事を進める文化があります。
先輩職員が後輩を丁寧に指導する文化があり、困ったときに相談しやすい環境が整っています。組織の規模も適度で、職員同士の顔が見える関係が築きやすく、温かみのある職場が多いと感じます。
また、県民との距離が近く、施策が県民にどう届いているかを実感しやすい環境です。地域に根ざした仕事ができることも、富山県庁で働く魅力の一つです。
職員の声(体験談)
Kさん(入庁6年目・商工労働部)
私が富山県庁を志望したのは、地元富山のものづくり産業を支えたいと思ったからです。富山県には、世界に誇る技術を持つ企業がたくさんあります。大学で経営学を学ぶ中で、地域経済を支える中小企業の重要性を理解し、「富山の企業を支援する仕事がしたい」という思いが強くなりました。
入庁後は最初、総務部門に配属されました。正直「産業振興がやりたかったのに…」と思いましたが、この経験が今になって活きています。予算編成や議会対応など、県政の基本的な仕組みを学べたことで、今の産業振興の仕事でも、実現可能性を意識した施策を考えられるようになりました。
その後、念願の商工労働部に異動し、現在は中小企業の経営支援を担当しています。県内には約4万社の中小企業があり、雇用の多くを支えています。経営相談、融資制度の運営、販路開拓支援など、様々な角度から企業を支える仕事に携わっています。
印象に残っているのは、県内の製造業企業が新技術を開発する際に伴走支援したことです。補助金の申請サポートから、専門家のマッチング、展示会への出展支援まで、長期間関わりました。その企業が新製品を発表し、大手企業との取引が決まったときは、自分のことのように嬉しかったです。
受験生の皆さんへ。面接では「なぜ富山県なのか」を深く考えてください。富山県は、暮らしやすさとものづくりの技術を両立させてきた県です。その特性を理解し、自分がどう貢献できるかを語れるようにしてほしいです。富山県庁は、県民との距離が近く、自分の仕事が確実に地域に届く実感がある職場です。
Lさん(入庁4年目・厚生部)
私は県外出身で、大学時代を富山で過ごしました。卒業後は地元に戻ることも考えましたが、富山で働くことを決めました。理由は、富山県の「暮らしやすさ」と「子育てしやすさ」です。持ち家率が高く、三世代同居も多い。共働き率も高く、女性が働きやすい環境が整っている。この環境を守り、さらに良くする仕事がしたいと思いました。
現在は子育て支援の部署で、保育所の整備促進や病児保育の充実、子育て世帯への経済的支援などに携わっています。富山県は「子育て支援日本一」を目指しており、様々な施策が展開されています。
印象に残っているのは、子育て中の保護者の方々との意見交換会に参加したことです。現場の生の声を聞くことで、制度の改善点が見えてきました。「こんな支援があったら助かる」という声を、実際の施策に反映できたときは、大きなやりがいを感じました。
富山県庁の魅力は、「県民との距離の近さ」だと思います。人口が約100万人という規模だからこそ、一人ひとりの県民の顔が見える仕事ができます。また、富山県は「日本一の幸せ都道府県」を目指しており、職員一人ひとりが県民の幸せを考えながら働いています。その雰囲気が好きです。
受験生の皆さん、試験勉強は大変だと思いますが、「県庁で何をしたいか」というビジョンを持つことで、モチベーションを維持できます。富山県を実際に訪れて、地域の魅力や暮らしやすさを体感してみてください。そこで感じたことを、志望動機につなげていくと良いと思います。応援しています!
給料・年収・福利厚生
初任給(大卒行政職)
富山県庁の初任給は、地方公務員の給与体系に基づいて設定されています。 <table> <thead> <tr> <th>学歴</th> <th>初任給(月額・目安)</th> </tr> </thead> <tbody> <tr> <td>大学卒(上級)</td> <td>約188,000円</td> </tr> <tr> <td>短大卒(中級)</td> <td>約168,000円</td> </tr> <tr> <td>高校卒(初級)</td> <td>約156,000円</td> </tr> </tbody> </table>
※上記は基本給の目安であり、扶養手当や通勤手当などは別途支給されます。
年収の目安
年齢や役職によって異なりますが、概ね以下のような目安になります。 <table> <thead> <tr> <th>年代・役職</th> <th>年収目安</th> </tr> </thead> <tbody> <tr> <td>20代(一般職員)</td> <td>約350万円〜450万円</td> </tr> <tr> <td>30代(主任級)</td> <td>約500万円〜650万円</td> </tr> <tr> <td>40代(課長補佐級)</td> <td>約650万円〜800万円</td> </tr> <tr> <td>50代(管理職)</td> <td>約800万円〜1,000万円</td> </tr> </tbody> </table>
※上記はボーナスを含む年収の概算です。
福利厚生
富山県庁の福利厚生は充実しており、以下のようなものがあります。
- 各種手当:扶養手当、住居手当、通勤手当、時間外勤務手当など
- 休暇制度:年次有給休暇(年20日)、夏季休暇、結婚休暇、出産休暇、育児休業、介護休暇など
- 共済組合:医療保険、年金、各種福祉事業
- 職員住宅:県内各地に配置
- 各種貸付制度:住宅資金、教育資金、災害時の緊急貸付など
- メンタルヘルス対策:相談窓口の設置、研修の実施
- 自己啓発支援:資格取得支援、研修機会の提供
特に、育児と仕事の両立支援には力を入れており、男性職員の育児休業取得も推進されています。また、富山県は共働き率が高いため、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みも進められています。
採用試験の内容
富山県庁の採用試験は、職種や受験区分によって異なりますが、一般的な行政職(上級)の場合、以下のような流れになります。
試験の流れ
- 第一次試験
- 教養試験(択一式)
- 専門試験(択一式)
- 適性検査
- 第二次試験
- 論文試験
- 個別面接
- 第三次試験
- 個別面接
教養試験・専門試験
教養試験は、一般知識(社会科学、人文科学、自然科学)と一般知能(文章理解、判断推理、数的処理など)で構成されます。専門試験は、法律、経済、行政などの専門科目から出題されます。
難易度は標準的で、基礎をしっかり固めて過去問演習を重ねれば十分対応可能です。特に教養試験は出題範囲が広いため、計画的な学習が必要です。
論文試験
論文試験では、県政の課題や時事問題について、自分の考えを論理的に述べることが求められます。
よく出題されるテーマ
- 人口減少・少子高齢化対策
- 産業振興・ものづくり支援
- 観光振興
- 子育て支援
- 防災・減災対策
- 環境・脱炭素化
- デジタル化の推進
- 移住・定住促進
制限時間内に、課題の現状分析→原因の考察→具体的な解決策という流れで論理的に書くことがポイントです。富山県の特性を踏まえた具体的な提案ができると評価が高まります。
面接試験
面接は、二次試験と三次試験で合計2回実施されます。
面接でよく聞かれる質問
- 志望動機(なぜ富山県庁か、なぜ公務員か)
- 富山県の魅力や課題について
- 関心のある県の施策
- 学生時代に力を入れたこと
- 困難を乗り越えた経験
- チームで協力した経験
- ストレスへの対処法
- 10年後のキャリアビジョン
- 県外出身者の場合:なぜ富山県を選んだのか
- 県内各地への異動は大丈夫か
特に志望動機は深掘りされるので、「なぜ富山県なのか」を具体的に語れるようにしておきましょう。県の施策や地域特性について、自分なりの意見を持っておくことが大切です。
試験倍率
富山県庁の試験倍率は、近年では全体で4〜6倍程度で推移しています。職種や年度によって変動がありますが、しっかりと対策すれば十分に合格を狙えるレベルです。特に面接対策を怠らず、自己分析と自治体研究を深めることが合格への近道となります。
志望動機を作るコツ(富山県庁編)
志望動機は、面接で最も重視される項目の一つです。ありきたりな内容ではなく、「あなただけの志望動機」を作ることが重要です。
ポイント1:富山県の地域課題に触れる
富山県が抱える課題(人口減少、少子高齢化、若者の県外流出、中山間地域の過疎化など)に言及し、その課題に対する自分なりの問題意識を示しましょう。
ポイント2:県の重点政策を盛り込む
「くすりのシリコンバレーTOYAMA」「子育て支援日本一」「北陸新幹線の県内全線開業」「世界で最も美しい富山湾」など、県が力を入れている施策に触れ、その施策に共感した理由や、自分が貢献できる点を述べましょう。
ポイント3:富山県の魅力を理解する
富山県には、暮らしやすさ(持ち家率全国1位、三世代同居率トップクラス)、ものづくりの技術、豊かな自然、美味しい食など、多くの魅力があります。これらの魅力を理解し、「この魅力を守り、発展させたい」という思いを志望動機に盛り込みましょう。
ポイント4:自分の経験とつなげる
大学での学びや、アルバイト、ボランティア、インターンシップなどの経験を、志望動機に結びつけましょう。「この経験が、県庁でこう活きる」という形で語ると説得力が増します。
ポイント5:「なぜ富山県なのか」を明確に
他の自治体ではなく、富山県でなければならない理由を説明しましょう。地元出身であればそのつながり、県外出身であれば富山県に惹かれた理由を具体的に述べることが重要です。
志望動機の例文
私が富山県庁を志望する理由は、ふるさと富山の「暮らしやすさ」を次世代に引き継ぎ、誰もが幸せを実感できる地域を創りたいと考えたからです。
大学で地域政策を学ぶ中で、地方における人口減少と産業衰退の問題に関心を持つようになりました。富山県も例外ではなく、特に若者の県外流出が課題となっています。しかし一方で、富山県には全国トップクラスの持ち家率、三世代同居率、共働き率という「暮らしやすさ」の基盤があります。また、医薬品産業をはじめとする高い技術力を持つ企業も多数あります。この強みを活かし、若者が「富山で暮らしたい、働きたい」と思える環境を整えることで、持続可能な地域づくりができると考えています。
特に貴県が推進する「子育て支援日本一」の取り組みに強く共感しました。私自身、三世代同居の家庭で育ち、家族の支え合いの大切さを実感してきました。しかし、核家族化が進む中、行政による子育て支援の重要性はますます高まっています。保育環境の充実、経済的支援、働き方改革などを通じて、子育て世代が安心して暮らせる環境を整えることが、将来の富山県の発展につながると考えています。
入庁後は、子育て支援や産業振興の分野で、県民の幸福度向上に貢献する施策に携わりたいです。富山県の「暮らしやすさ」を全国に発信し、多くの人に「富山で暮らしたい」と思ってもらえるような地域づくりを実現することが、私の目標です。
この例文のように、「課題認識→県の強み・施策への共感→自分の経験→入庁後のビジョン」という流れで構成すると、説得力のある志望動機になります。
まとめ
富山県庁は、全国トップクラスの暮らしやすさを誇り、ものづくり産業と豊かな自然を兼ね備えた自治体として、産業振興、子育て支援、観光振興、防災対策など、幅広い分野で施策を展開しています。職員は3〜5年のサイクルで異動しながら、多様な経験を積むことができます。
採用試験では、筆記試験の対策はもちろん、面接で「なぜ富山県庁なのか」を自分の言葉で語れることが重要です。そのためには、県の施策や地域特性について深く理解し、自分なりの問題意識を持つことが欠かせません。
自治体研究と受験勉強を両立させるのは簡単ではありませんが、志望動機を考えるプロセスは、自分自身のキャリアや価値観を見つめ直す貴重な機会でもあります。「富山県の課題」と「自分の思い」をしっかりとつなげて、説得力のある志望動機を作り上げてください。
富山県庁で働くことは、ふるさとの未来を創る仕事です。暮らしやすさを守りながら、新しい可能性を切り拓いていける職場です。皆さんの挑戦を心から応援しています。

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