【現役職員が語る】石川県庁の仕事内容｜組織体制・面接対策・試験倍率を徹底解説

はじめに

石川県庁を志望する受験生の皆さん、自治体研究は順調に進んでいますか？

私が県庁を受験したとき、最初は「金沢で働けたらいいな」という軽い気持ちでした。でも、自治体研究を深めるうちに、石川県の持つ独自性に引き込まれたんです。伝統工芸と先端産業の共存、加賀百万石の歴史が息づく文化力、そして北陸新幹線開業後の新たな可能性——この県には「守るべき伝統」と「創るべき未来」が同居している。その両立に挑戦できる仕事に魅力を感じて、「ここで働きたい」と強く思うようになりました。

この記事では、石川県庁の組織構造や具体的な業務内容、実際の職場環境について、現役職員の視点から詳しく解説していきます。志望動機の作り方や面接対策のヒントも盛り込んでいますので、ぜひ最後までお読みください。

石川県庁の基本情報と組織概要

石川県は本州の中央部、日本海側に位置し、能登半島と加賀地方から成る独特の形状を持っています。加賀百万石の歴史と文化を受け継ぎ、伝統と革新が調和する地域として知られています。

主な基本データ

項目	内容
人口	約112万人（全国第34位）
面積	4,186平方キロメートル
職員数	約3,800人（知事部局・教育委員会等含む）
一般会計予算	約7,000億円規模
市町村数	11市8町

石川県の特徴は、その「文化力」と「ものづくりの技術力」にあります。加賀友禅、九谷焼、輪島塗、金沢箔など、多様な伝統工芸が今も息づき、全国の伝統工芸品生産額の約4分の1を占めています。金沢21世紀美術館の成功に象徴されるように、現代アートも盛んです。

産業面では、建設機械、繊維機械、工作機械などの機械工業が盛んで、県内総生産の約3割を製造業が占めています。また、ICT産業の集積も進んでおり、「シリコンバレー・イン・能登」構想も展開されています。

北陸新幹線の金沢開業（2015年）により、東京から最短2時間28分でアクセス可能となり、観光やビジネスでの交流が拡大しています。2024年には金沢～敦賀間が開業し、さらなる発展が期待されています。

石川県庁の組織は本庁のほか、県内各地に県民文化局や土木事務所などの出先機関があります。私はこれまで本庁と地域振興の現場の両方を経験しましたが、石川県の特徴は「文化行政の厚み」だと感じます。伝統工芸の継承から現代アートの振興まで、文化を大切にする風土が県政に根付いています。また、北陸新幹線開業後は観光振興にも力を入れており、歴史・文化・自然を活かした施策が次々と生まれています。伝統を守りながら新しいことに挑戦する——そのバランス感覚が石川県庁で働く面白さだと思います。

（石川県庁職員・入庁6年目）

石川県庁の業務の特徴

石川県庁の業務は、県の特性を反映して多岐にわたります。主な業務分野をご紹介します。

伝統工芸・文化振興

加賀友禅、九谷焼、輪島塗、金沢箔など、多様な伝統工芸の継承・振興が重要な政策課題です。後継者育成、販路開拓支援、海外展開の支援などが行われています。また、金沢21世紀美術館をはじめとする文化施設の運営、現代アートの振興も積極的に展開されています。

ものづくり産業の振興

建設機械、繊維機械、工作機械などの機械工業、ICT産業の集積促進、企業誘致、技術開発支援、人材育成など、県内産業の競争力強化が進められています。特に「いしかわサイエンスパーク」では、産学官連携による研究開発を支援しています。

観光振興・交流促進

北陸新幹線の開業効果を最大化するため、金沢の歴史・文化、能登の里山里海、加賀温泉郷などの観光資源を活かした誘客促進が展開されています。インバウンド対策、体験型観光の充実、滞在型観光の促進などに力を入れています。

農林水産業の振興

加賀野菜、能登牛、能登かき、ルビーロマン（ぶどう）など、ブランド農産物の振興が進められています。また、能登の里山里海の保全（世界農業遺産）、担い手の確保・育成、6次産業化支援なども重要な施策です。

北陸新幹線の県内全線開業に向けた取り組み

金沢～敦賀間の開業（2024年）効果を最大化するとともに、敦賀～大阪間の早期実現に向けた要望活動を行っています。また、開業に合わせた受け入れ態勢整備、二次交通の充実なども進められています。

環境・エネルギー政策

能登の里山里海の保全、白山の自然環境保護、2050年カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギーの導入促進、省エネ対策などが展開されています。また、プラスチックごみ削減、海岸漂着物対策なども重要なテーマです。

福祉・医療

高齢化が進む中、地域医療体制の充実、地域包括ケアシステムの構築、医師・看護師の確保、介護人材の育成などが重要です。特に能登地域の医療提供体制の維持は大きな課題となっています。

教育・人材育成

県立高校・特別支援学校の運営、私立学校への支援、ICT教育の推進、グローバル人材の育成などに取り組んでいます。また、金沢大学をはじめとする高等教育機関との連携も進められています。

防災・減災対策

地震や豪雨、土砂災害、豪雪などへの備えとして、防災インフラの整備、防災体制の強化が進められています。2024年1月の能登半島地震を受け、復旧・復興と防災力強化が最重要課題となっています。

私は入庁後、観光戦略→商工労働→文化振興と異動してきました。最初は「毎回ゼロから勉強するのは大変」と思いましたが、今ではこの経験が私の武器です。観光で培った発信力、商工で学んだ産業の視点、文化振興で触れた伝統工芸の奥深さ——これらが複合的に活きて、施策を立案する際に多角的な視点を持てるようになりました。石川県庁の職員は「ゼネラリスト」として育成されますが、それは石川県の多様な魅力を理解し、それを活かした施策を考えるために必要な視野を養うためだと理解しています。一つの専門を深く極めたい人には物足りないかもしれませんが、幅広い経験を通じて成長したい人には最適な環境だと思います。

（石川県庁職員・入庁6年目）

石川県庁の代表的な政策・取り組み事例

石川県が現在力を入れている主な政策を紹介します。面接でもよく問われるテーマですので、しっかり理解しておきましょう。

1. 「石川県長期構想」と「行動計画」

県の総合計画として、「『個性』が光り『自信と誇り』に満ちた　いしかわ」を目指し、産業振興、地域づくり、安全・安心な暮らしの実現などに取り組んでいます。特に、伝統と革新の調和、文化を活かした地域づくりが特徴です。

2. 北陸新幹線の県内全線開業効果の最大化

金沢～敦賀間の開業効果を最大化するため、観光振興、企業誘致、移住促進、交通ネットワークの充実などに取り組んでいます。また、敦賀～大阪間の早期実現に向けた要望活動も行われています。

3. 伝統工芸の継承と革新

伝統工芸の後継者育成、技術の継承、現代のライフスタイルに合った商品開発支援、海外展開の支援などが展開されています。「百万石の伝統産業・地場産業」の振興は、石川県の重要な政策の柱です。

4. 文化立県の推進

金沢21世紀美術館をはじめとする文化施設の活用、アートイベントの開催、歴史的建造物の保存活用、文化芸術活動への支援など、文化を活かした地域づくりが進められています。「文化の力で人を引きつける」戦略が特徴です。

5. いしかわ版Society 5.0の実現

ICT産業の集積促進、DXの推進、スマート農業の導入、行政のデジタル化など、デジタル技術を活用した産業振興と行政サービスの向上が進められています。

6. 能登の里山里海の保全と活用

世界農業遺産に認定された「能登の里山里海」の保全と活用を進めています。持続可能な農林水産業の推進、里山里海を活かした観光振興、地域コミュニティの維持などが展開されています。

7. 子育て支援の充実

保育環境の充実、経済的支援、働き方改革、結婚支援など、切れ目ない子育て支援を展開しています。特に「いしかわ結婚・子育て支援財団」を通じた総合的な支援が特徴です。

8. 能登半島地震からの復旧・復興

2024年1月の能登半島地震からの復旧・復興が最重要課題となっています。被災者支援、インフラ復旧、産業の再生、観光の再興など、総合的な復興施策が展開されています。

9. カーボンニュートラルの実現

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギー対策、森林吸収源対策などを推進しています。また、環境ビジネスの育成にも取り組んでいます。

これらの施策について、自分なりの意見や関心を持っておくと、面接で説得力のある回答ができます。特に能登半島地震からの復興は、今後の県政において最も重要なテーマの一つとなります。

勤務環境・職員文化

異動サイクル

石川県庁の異動は、概ね3〜5年程度のサイクルで行われます。若手職員の場合、幅広い経験を積むために比較的短期間で異動することもあります。本庁と出先機関を行き来することも多く、県内各地での勤務を経験する職員が多いのが特徴です。

本庁勤務の場合は金沢市（県庁所在地）での勤務となりますが、出先機関は県内各地、特に能登地域にもあるため、配属先によっては転居が必要になることもあります。職員住宅も用意されており、転居を伴う異動の場合も安心です。

働き方改革の取り組み

石川県庁でも働き方改革が進められており、以下のような取り組みが実施されています。

• フレックスタイム制度：一部の部署で導入され、柔軟な勤務が可能
• テレワーク：コロナ禍を機に導入が進み、現在も活用されている
• ノー残業デー：週に1回、定時退庁を推奨
• 年次有給休暇の取得促進：計画的な取得を推奨
• 育児・介護との両立支援：短時間勤務制度、部分休業制度など
• イクボス宣言：管理職が率先して働き方改革を推進

ただし、部署によって業務量や性質は大きく異なります。議会対応や予算編成、災害対応などの時期は忙しくなる部署もあれば、比較的落ち着いて働ける部署もあります。

職場の雰囲気

石川県庁の職場文化は、真面目で堅実、礼儀を重んじる傾向があります。加賀百万石の歴史と文化が根付いた金沢という土地柄もあり、伝統を大切にしながら新しいことにも挑戦する、バランスの取れた組織風土があります。

先輩職員が後輩を丁寧に指導する文化があり、困ったときに相談しやすい環境が整っています。組織の規模も適度で、職員同士の顔が見える関係が築きやすいと感じます。

また、文化や芸術を大切にする風土があり、職員の中にも伝統工芸や茶道、能楽などに親しむ人が多くいます。そうした文化的な素養が、文化振興施策を考える際にも活きています。

職員の声（体験談）

Mさん（入庁6年目・観光戦略推進部）

私が石川県庁を志望したのは、地元石川の「文化力」を活かした地域づくりに関わりたいと思ったからです。大学で観光学を学ぶ中で、地域の歴史や文化が観光資源としていかに重要かを理解しました。石川県には加賀百万石の歴史、多様な伝統工芸、豊かな食文化など、他の地域にはない独自の魅力があります。この魅力を全国・世界に発信する仕事がしたいと思いました。

入庁後は最初、農林水産部門に配属されました。正直「観光がやりたかったのに…」と思いましたが、この経験が今になって活きています。能登の里山里海、加賀野菜、能登牛など、農林水産の現場を知ったことで、観光施策を考える際にも「地域の資源をどう活かすか」という視点を持てるようになりました。

その後、念願の観光戦略推進部に異動し、現在は北陸新幹線開業効果の最大化に向けた施策を担当しています。首都圏でのプロモーション、旅行会社との連携、体験型観光の開発など、様々な取り組みに携わっています。

印象に残っているのは、首都圏で開催した石川県の観光イベントで、多くの方に「石川に行ってみたい」と言っていただけたことです。伝統工芸の実演、加賀料理の試食、能楽の体験など、石川県の文化を体感してもらうことで、興味を持ってもらえる。文化の力を実感した瞬間でした。

受験生の皆さんへ。面接では「なぜ石川県なのか」を深く考えてください。石川県は、伝統と革新が共存する独特の地域です。その特性を理解し、自分がどう貢献できるかを語れるようにしてほしいです。また、能登半島地震からの復興も重要なテーマです。県政の課題を自分なりに理解し、意見を持っておくことが大切です。

Nさん（入庁4年目・生活環境部）

私は県外出身で、大学時代を金沢で過ごしました。卒業後は地元に戻ることも考えましたが、石川で働くことを決めました。理由は、石川県の「文化と自然の豊かさ」です。金沢の街並み、能登の里山里海、加賀温泉郷——この多様な魅力を守り、次世代に引き継ぐ仕事がしたいと思いました。

現在は環境政策の部署で、カーボンニュートラルの推進や里山里海の保全に携わっています。世界農業遺産に認定された「能登の里山里海」は、人と自然が共生する持続可能な地域のモデルです。この貴重な資源を保全しながら、地域の活性化にもつなげていく——そのバランスを取ることが、私たちの仕事です。

印象に残っているのは、能登の集落で地域住民の方々と一緒に、里山保全の活動に参加したことです。草刈りや水路の清掃など、地道な作業ですが、それが美しい景観と豊かな生態系を守っている。現場を知ることで、施策を考える際にも、地域の実情を踏まえた提案ができるようになりました。

石川県庁の魅力は、「文化と歴史を大切にする風土」だと思います。県庁職員の中にも、伝統工芸や茶道を嗜む人が多く、文化的な感性を持って仕事に臨んでいる人が多いと感じます。また、能登半島地震からの復興という大きな課題に、県庁一丸となって取り組んでいる姿勢にも、職員の使命感を感じます。

受験生の皆さん、試験勉強は大変だと思いますが、「県庁で何をしたいか」というビジョンを持つことで、モチベーションを維持できます。石川県を実際に訪れて、地域の魅力や課題を自分の目で確かめてみてください。そこで感じたことを、志望動機につなげていくと良いと思います。応援しています！

給料・年収・福利厚生

初任給（大卒行政職）

石川県庁の初任給は、地方公務員の給与体系に基づいて設定されています。

学歴	初任給（月額・目安）
大学卒（上級）	約188,000円
短大卒（中級）	約168,000円
高校卒（初級）	約156,000円

※上記は基本給の目安であり、扶養手当や通勤手当などは別途支給されます。

年収の目安

年齢や役職によって異なりますが、概ね以下のような目安になります。

年代・役職	年収目安
20代（一般職員）	約350万円〜450万円
30代（主任級）	約500万円〜650万円
40代（課長補佐級）	約650万円〜800万円
50代（管理職）	約800万円〜1,000万円

※上記はボーナスを含む年収の概算です。

福利厚生

石川県庁の福利厚生は充実しており、以下のようなものがあります。

• 各種手当：扶養手当、住居手当、通勤手当、時間外勤務手当など
• 休暇制度：年次有給休暇（年20日）、夏季休暇、結婚休暇、出産休暇、育児休業、介護休暇など
• 共済組合：医療保険、年金、各種福祉事業
• 職員住宅：県内各地に配置
• 各種貸付制度：住宅資金、教育資金、災害時の緊急貸付など
• メンタルヘルス対策：相談窓口の設置、研修の実施
• 自己啓発支援：資格取得支援、研修機会の提供

特に、育児と仕事の両立支援には力を入れており、男性職員の育児休業取得も推進されています。

採用試験の内容

石川県庁の採用試験は、職種や受験区分によって異なりますが、一般的な行政職（上級）の場合、以下のような流れになります。

試験の流れ

1. 第一次試験
   • 教養試験（択一式）
   • 専門試験（択一式）
   • 適性検査
2. 第二次試験
   • 論文試験
   • 個別面接
3. 第三次試験
   • 個別面接

教養試験・専門試験

教養試験は、一般知識（社会科学、人文科学、自然科学）と一般知能（文章理解、判断推理、数的処理など）で構成されます。専門試験は、法律、経済、行政などの専門科目から出題されます。

難易度は標準的で、基礎をしっかり固めて過去問演習を重ねれば十分対応可能です。

論文試験

論文試験では、県政の課題や時事問題について、自分の考えを論理的に述べることが求められます。

よく出題されるテーマ

• 能登半島地震からの復旧・復興
• 人口減少・少子高齢化対策
• 伝統工芸の継承と革新
• 観光振興
• 産業振興・ものづくり支援
• 子育て支援
• 環境保全・脱炭素化
• デジタル化の推進

制限時間内に、課題の現状分析→原因の考察→具体的な解決策という流れで論理的に書くことがポイントです。石川県の特性を踏まえた具体的な提案ができると評価が高まります。

面接試験

面接は、二次試験と三次試験で合計2回実施されます。

面接でよく聞かれる質問

• 志望動機（なぜ石川県庁か、なぜ公務員か）
• 石川県の魅力や課題について
• 能登半島地震からの復興について
• 関心のある県の施策
• 学生時代に力を入れたこと
• 困難を乗り越えた経験
• チームで協力した経験
• ストレスへの対処法
• 10年後のキャリアビジョン
• 県外出身者の場合：なぜ石川県を選んだのか
• 能登地域への異動（転居を伴う）は大丈夫か

特に志望動機は深掘りされるので、「なぜ石川県なのか」を具体的に語れるようにしておきましょう。県の施策や地域特性について、自分なりの意見を持っておくことが大切です。

試験倍率

石川県庁の試験倍率は、近年では全体で5〜7倍程度で推移しています。職種や年度によって変動がありますが、しっかりと対策すれば十分に合格を狙えるレベルです。特に面接対策を怠らず、自己分析と自治体研究を深めることが合格への近道となります。

志望動機を作るコツ（石川県庁編）

志望動機は、面接で最も重視される項目の一つです。ありきたりな内容ではなく、「あなただけの志望動機」を作ることが重要です。

ポイント1：石川県の地域課題に触れる

石川県が抱える課題（能登半島地震からの復興、人口減少、少子高齢化、能登地域の過疎化、伝統工芸の後継者不足など）に言及し、その課題に対する自分なりの問題意識を示しましょう。

ポイント2：県の重点政策を盛り込む

「北陸新幹線の県内全線開業」「伝統工芸の継承と革新」「文化立県の推進」「能登の里山里海の保全」など、県が力を入れている施策に触れ、その施策に共感した理由や、自分が貢献できる点を述べましょう。

ポイント3：石川県の独自性を理解する

石川県には、加賀百万石の歴史、多様な伝統工芸、文化力、能登の里山里海など、他の地域にはない独自の魅力があります。この独自性を理解し、「この魅力を守り、発展させたい」という思いを志望動機に盛り込みましょう。

ポイント4：自分の経験とつなげる

大学での学びや、アルバイト、ボランティア、インターンシップなどの経験を、志望動機に結びつけましょう。「この経験が、県庁でこう活きる」という形で語ると説得力が増します。

ポイント5：「なぜ石川県なのか」を明確に

他の自治体ではなく、石川県でなければならない理由を説明しましょう。地元出身であればそのつながり、県外出身であれば石川県に惹かれた理由を具体的に述べることが重要です。

志望動機の例文

私が石川県庁を志望する理由は、ふるさと石川の「文化力」を活かした持続可能な地域づくりに貢献し、次世代に誇れる石川県を創りたいと考えたからです。

大学で地域政策を学ぶ中で、地方における人口減少と産業衰退の問題に関心を持つようになりました。石川県も例外ではなく、特に能登地域では過疎化が深刻です。さらに、能登半島地震からの復旧・復興は喫緊の課題となっています。しかし一方で、石川県には加賀百万石の歴史、全国の4分の1を占める伝統工芸品生産額、世界農業遺産の能登の里山里海という、他の地域にはない独自の文化資源があります。この強みを活かし、文化を核とした地域づくりを進めることで、持続可能な発展が実現できると考えています。

特に貴県が推進する「伝統工芸の継承と革新」に強く共感しました。私自身、大学時代に金沢で伝統工芸のボランティアに参加し、職人の方々の技術と情熱に触れました。しかし同時に、後継者不足や販路の課題も目の当たりにしました。伝統を守りながらも、現代のライフスタイルに合った商品開発や、海外展開を支援することで、伝統工芸を「守る」だけでなく「発展させる」ことができると考えています。

入庁後は、文化振興や観光振興の分野で、石川県の文化資源を国内外に発信し、多くの人に「石川に行きたい、石川で暮らしたい」と思ってもらえるような施策に携わりたいです。また、能登半島地震からの復興にも貢献し、より強靱で魅力的な石川県を実現することが、私の目標です。

この例文のように、「課題認識→県の強み・施策への共感→自分の経験→入庁後のビジョン」という流れで構成すると、説得力のある志望動機になります。

まとめ

石川県庁は、加賀百万石の歴史と文化を受け継ぎ、伝統と革新が調和する自治体として、伝統工芸の振興、観光振興、産業振興、能登半島地震からの復興など、幅広い分野で施策を展開しています。職員は3〜5年のサイクルで異動しながら、多様な経験を積むことができます。

採用試験では、筆記試験の対策はもちろん、面接で「なぜ石川県庁なのか」を自分の言葉で語れることが重要です。そのためには、県の施策や地域特性について深く理解し、自分なりの問題意識を持つことが欠かせません。

自治体研究と受験勉強を両立させるのは簡単ではありませんが、志望動機を考えるプロセスは、自分自身のキャリアや価値観を見つめ直す貴重な機会でもあります。「石川県の課題」と「自分の思い」をしっかりとつなげて、説得力のある志望動機を作り上げてください。

石川県庁で働くことは、ふるさとの未来を創る仕事です。伝統を守りながら新しい可能性を切り拓いていける職場です。皆さんの挑戦を心から応援しています。