はじめに
公務員試験において、志望する自治体の特性を深く理解することは、面接での説得力を大きく左右します。都道府県庁は広域的な行政課題に取り組み、市町村を支援する役割を担っているため、その業務範囲は極めて広く、表面的な理解では本質を捉えることができません。
佐賀県庁で働いて実感するのは、この県が持つ「小さくても先進的な挑戦」です。人口約81万人と小規模県でありながら、ICT利活用日本一を目指す先進的な取り組み、有田焼・伊万里焼などの伝統産業、佐賀牛や佐賀海苔などのブランド農水産物、そして「県庁をベンチャー企業に」という知事の方針のもと、前例にとらわれない政策に挑戦できる環境があります。こうしたユニークな県で働くことが、県職員として働く大きな魅力です。
この記事では、佐賀県庁を志望する受験生の皆さんに向けて、組織の実態、業務の特徴、採用試験の傾向、そして実際に働く職員のリアルな声まで、詳細にお伝えします。自治体研究を通じて、あなた自身の志望動機を確立していきましょう。
佐賀県の基本情報と組織概要
佐賀県は九州の北西部に位置し、有明海と玄界灘の二つの海に面した県です。人口は約81万人で、県庁所在地は佐賀市。有田焼、伊万里焼などの伝統産業と、先進的なICT利活用で知られています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 人口 | 約81万人 |
| 県庁所在地 | 佐賀市 |
| 職員数 | 約3,300人（知事部局等） |
| 予算規模 | 一般会計約4,500億円 |
| 主要産業 | 製造業、農業、陶磁器産業、観光業 |
佐賀県庁の組織は、知事直轄の総務部をはじめ、地域交流部、県民環境部、健康福祉部、産業労働部、農林水産部、県土整備部、教育委員会などで構成されています。特徴的なのは、「最高デジタル統括責任者（CDO）」を設置し、ICT利活用を全庁的に推進していることです。
県内には東部、西部、南部、北部の4つの保健福祉事務所があり、地域に密着した行政サービスを提供しています。また、土木事務所、農林事務所など、多様な地域機関が配置されており、職員の多くはキャリアの中でこれらの機関も経験します。
佐賀県庁の仕事の魅力は、「小さいからこそ挑戦できる」ことです。私は入庁後、産業労働部に配属され、ICT企業の誘致を担当しました。佐賀県は「ICT利活用日本一」を目指しており、全国に先駆けて様々な取り組みを行っています。例えば、県庁の業務システムのクラウド化は全国初の試みでしたし、オープンデータの公開も積極的に進めています。小規模県だからこそ、意思決定が早く、新しいことにチャレンジしやすい環境があります。また、知事が「県庁をベンチャー企業に」という方針を掲げており、職員の自由な発想を歓迎する風土があります。実際、若手職員が提案した施策が採用され、実現することも珍しくありません。その後、西部地域の出先機関で陶磁器産業の支援を担当しましたが、有田焼や伊万里焼という400年以上の伝統を持つ産業を支える仕事にやりがいを感じました。伝統と革新が共存する佐賀県で、前例にとらわれない仕事ができることが大きな魅力です。
佐賀県は、佐賀市・鳥栖市を中心とした都市部と、有田・伊万里などの陶磁器産地、唐津などの観光地、そして農業が盛んな平野部など、多様な地域特性を持っています。また、福岡市に近接しており、福岡都市圏との結びつきも強いのが特徴です。
佐賀県庁の業務の特徴
佐賀県庁の業務は多岐にわたりますが、佐賀県ならではの特徴的な分野を中心に紹介します。
ICT利活用の推進分野
佐賀県の最大の特徴は、「ICT利活用日本一」を目指し、全国に先駆けた取り組みを行っていることです。県庁業務のクラウド化、オープンデータの推進、教育現場でのICT活用、行政手続きのオンライン化など、総合的なICT利活用を推進しています。
陶磁器産業の振興分野
有田焼、伊万里焼、唐津焼など、400年以上の歴史を持つ陶磁器産業の振興は県の重要な業務です。伝統技術の継承、販路開拓、後継者育成、海外展開支援など、総合的な施策を展開しています。「2016/ 有田焼創業400年事業」などの大規模イベントも実施しました。
農林水産業振興分野
佐賀県は佐賀牛、佐賀海苔、玉ねぎ、いちごなど、特色ある農水産物があります。これらのブランド力強化、6次産業化の推進、担い手の育成などに取り組んでいます。特に、佐賀海苔は生産量日本一を誇ります。
企業誘致・産業振興分野
佐賀県は福岡市に近い立地を活かし、積極的な企業誘致を展開しています。また、県内企業の支援、起業・創業支援、地場産業の振興など、産業振興に力を入れています。
移住促進分野
「さが移住サポートデスク」を設置し、移住・定住を積極的に促進しています。福岡市に近く、生活コストが安いという強みを活かし、都市部からの移住を推進しています。
観光振興分野
吉野ヶ里遺跡、唐津城、嬉野温泉、武雄温泉など、多様な観光資源を活かした観光振興に力を入れています。特に、「サガプライズ！」というキャッチフレーズで、佐賀の意外な魅力を発信しています。
医療・福祉分野
佐賀県は高齢化が進んでおり、地域医療の確保や介護体制の整備が重要課題です。医師確保対策、在宅医療の推進、地域包括ケアシステムの構築などに取り組んでいます。
防災・減災対策分野
佐賀県は有明海沿岸の低平地が広がり、洪水リスクがあります。また、玄界灘沿岸では津波のリスクもあります。治水対策、高潮対策、避難体制の整備など、総合的な防災・減災対策を推進しています。
私は現在、産業労働部でICT企業の誘致を担当していますが、佐賀県のICT利活用の先進性を日々実感しています。佐賀県は「ICT利活用日本一」を目指しており、県庁の業務システムのクラウド化は全国初の試みでした。当初は「本当にできるのか」という声もありましたが、挑戦した結果、大幅なコスト削減と業務効率化を実現しました。この実績が評価され、他の自治体からも視察に来られます。また、オープンデータの公開も積極的に進めており、県が持つデータを民間企業や県民が自由に活用できるようにしています。これにより、新しいサービスやビジネスが生まれる可能性があります。小規模県だからこそ、意思決定が早く、新しいことにチャレンジしやすい。そして、成功すれば全国のモデルになる。この醍醐味が佐賀県庁の仕事の魅力です。
佐賀県の代表的な政策・取り組み事例
佐賀県が現在重点的に取り組んでいる主な政策を紹介します。これらは面接でも頻出のテーマですので、しっかり理解しておきましょう。
1. 佐賀県総合計画の推進
佐賀県は「佐賀県総合計画」を策定し、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念としています。「人を育む」「産業を伸ばす」「社会を支える」を3つの柱に、様々な分野で具体的な施策を展開しています。
2. ICT利活用の推進
「ICT利活用日本一」を目指し、県庁業務のクラウド化、オープンデータの推進、教育ICTの推進、行政手続きのオンライン化など、総合的なICT利活用を推進しています。「最高デジタル統括責任者（CDO）」を設置し、全庁的な取り組みを展開しています。
3. 陶磁器産業の振興
有田焼、伊万里焼、唐津焼など、伝統的な陶磁器産業の振興に取り組んでいます。「2016/ 有田焼創業400年事業」を契機に、販路開拓、後継者育成、海外展開支援など、総合的な施策を展開しています。
4. さが農業「夢」創造プランの推進
佐賀牛、佐賀海苔、玉ねぎ、いちごなど、佐賀の農水産物のブランド力強化に取り組んでいます。また、スマート農業の導入、担い手の育成、6次産業化の推進など、農業の成長産業化を目指しています。
5. さが移住プロジェクトの推進
「さが移住サポートデスク」を東京と大阪に設置し、移住・定住を積極的に促進しています。福岡市に近く、生活コストが安いという強みを活かし、「ちょうどいい田舎」としての魅力を発信しています。
6. 企業誘致の推進
福岡市に近い立地、充実した交通インフラ、手厚い支援制度などを強みに、積極的な企業誘致を展開しています。特に、製造業やIT企業の誘致に力を入れています。
7. 観光振興の推進
「サガプライズ！」というキャッチフレーズで、佐賀の意外な魅力を発信しています。吉野ヶ里遺跡、温泉、陶磁器など、多様な観光資源を活かした誘客を推進しています。
8. 子育て支援の充実
少子化対策として、結婚・妊娠・出産・子育ての各段階で切れ目ない支援を提供しています。保育の質の向上、子ども医療費の助成、ワークライフバランスの推進など、多角的な施策を展開しています。
9. 医療・福祉の充実
地域医療の確保、医師確保対策、在宅医療の推進、地域包括ケアシステムの構築など、医療・福祉体制の充実に取り組んでいます。
10. 脱炭素社会の実現
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギーの推進、森林吸収源の整備などに取り組んでいます。
これらの政策は、いずれも佐賀県の持続可能な発展と、県民の暮らしの質の向上を目指すものです。小規模県だからこそ、全国に先駆けた取り組みにチャレンジできることが佐賀県の特徴です。
勤務環境・職員文化
佐賀県庁での働き方や職場の雰囲気について、実際の経験を踏まえて紹介します。
異動サイクル
若手職員は概ね2〜4年程度で異動することが多く、本庁と地域機関を交互に経験しながらキャリアを積んでいきます。佐賀県は比較的コンパクトな県域で、どの地域機関に配属されても通勤可能な範囲内であることが多く、転居を伴う異動は比較的少ないです。中堅以降は専門性や適性を考慮した配置も行われますが、基本的にはジェネラリストとしての育成方針です。
働き方改革の取り組み
近年、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みが進んでいます。テレワークの活用、フレックスタイム制度、時間外勤務の削減など、働きやすい職場環境づくりに力を入れています。ただし、部署や時期によって繁忙度に差があり、予算編成期や議会開会中、災害対応時などは残業が増えることもあります。
職員文化の特色
佐賀県庁の職員は、全体として穏やかで協調性が高いタイプが多い印象です。「県庁をベンチャー企業に」という方針のもと、前例にとらわれず新しいことに挑戦する風土があります。また、小規模県ゆえに職員間の距離が近く、アットホームな雰囲気があります。若手職員の意見も積極的に取り入れられる文化があり、自由な発想を歓迎する環境です。
職場の雰囲気は非常に風通しが良く、上司や先輩に気軽に相談できる環境です。若手のうちから責任ある仕事を任されることも多く、成長の機会が豊富にあります。
研修制度
新規採用職員研修をはじめ、階層別研修、専門研修、自己啓発支援など、充実した研修体系が整備されています。また、国や他自治体への派遣研修などもあり、幅広い経験を積むことができます。特に、ICT利活用に関する研修など、佐賀県の先進的な取り組みに関する研修も充実しています。
キャリアパス
佐賀県庁では、ジェネラリストとして幅広い分野を経験するキャリアパスが基本ですが、専門性を活かした配置も行われます。また、管理職への昇進だけでなく、専門職として活躍する道もあります。近年は、女性職員の活躍推進にも力を入れており、育児と仕事の両立支援なども充実してきています。
職員の声（体験談）
職員A（入庁5年目・現在は産業労働部勤務）
私が佐賀県庁を志望したのは、小規模県だからこそできる先進的な取り組みに魅力を感じたからです。大学でICT政策を学ぶ中で、佐賀県が「ICT利活用日本一」を目指し、県庁業務のクラウド化など、全国に先駆けた取り組みを行っていることを知りました。小規模県でありながら、全国をリードする政策を展開している。その挑戦的な姿勢に強く惹かれました。
入庁後は産業労働部に配属され、ICT企業の誘致を担当しました。佐賀県は福岡市に近く、生活コストが安いという強みがあり、IT企業のサテライトオフィスなどの誘致を進めています。印象に残っているのは、東京のIT企業が佐賀に拠点を開設したことです。「福岡市に近く、優秀な人材も確保しやすい」という理由で佐賀を選んでいただきました。雇用創出にもつながり、本当にやりがいを感じました。
また、佐賀県はオープンデータの公開も積極的に進めており、県が持つデータを民間企業や県民が自由に活用できるようにしています。これにより、新しいサービスやビジネスが生まれる可能性があります。実際に、県のオープンデータを活用したアプリを開発した企業もあります。
その後、西部地域の出先機関で陶磁器産業の支援を担当しました。有田焼や伊万里焼は400年以上の歴史を持つ伝統産業ですが、後継者不足や販路開拓など、課題も多くあります。伝統を守りながら、新しい価値を創造する。その難しさと面白さを実感しました。
現在は本庁に戻り、スタートアップ支援を担当しています。佐賀県は小さいですが、だからこそ新しいことに挑戦しやすい環境があります。
受験生の皆さんへのアドバイスとしては、佐賀県の「小ささ」を強みと捉えることが大切です。小さいからこそ、意思決定が早く、挑戦しやすい。そして、成功すれば全国のモデルになる。この可能性を理解してください。
職員B（入庁6年目・現在は農林水産部勤務）
私は農家の出身で、幼い頃から佐賀の農業に親しんできました。実家は玉ねぎ農家で、佐賀平野の肥沃な土地で栽培された玉ねぎが全国に出荷される姿を誇りに思っていました。大学で農業経済を学び、行政の立場から佐賀の農業を支えたいと思い、佐賀県庁を志望しました。
入庁後は農林水産部に配属され、佐賀牛の振興を担当しました。佐賀牛は「最高級の霜降り牛肉」として知られ、全国的にも高い評価を受けています。私は海外輸出の促進を担当し、香港やシンガポールなどのバイヤーとの商談に携わりました。佐賀牛は海外でも高い評価を受けており、高級レストランで提供されています。
また、佐賀海苔の振興にも携わりました。佐賀県は海苔の生産量日本一を誇り、有明海の豊かな栄養を受けた海苔は品質が非常に高いです。海苔のブランド化や、新たな用途開発など、様々な取り組みを進めています。
その後、南部地域の出先機関での勤務を経て、現在は本庁で農業政策の企画立案を担当しています。スマート農業の導入や、若手農業者の育成など、佐賀の農業をさらに発展させるための施策を考えています。
佐賀県庁の魅力は、生産者の方々との距離が本当に近いことです。現場の声を直接聞きながら、実効性のある政策を考えることができます。地域に根ざして仕事がしたい方には、最適な職場だと思います。
給料・年収・福利厚生
佐賀県庁職員の給与や福利厚生について、具体的な数字を交えて説明します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 初任給（大卒行政職） | 約186,000円 |
| 平均年収（30歳モデル） | 約440万円〜490万円 |
| 平均年収（40歳モデル） | 約590万円〜640万円 |
| 平均年収（50歳モデル） | 約690万円〜740万円 |
主な手当
- 扶養手当：配偶者や子どもなどを扶養している場合に支給
- 住居手当：賃貸住宅に居住する場合に支給
- 通勤手当：通勤に要する費用を支給
- 時間外勤務手当：超過勤務に対して支給
- 期末・勤勉手当：年2回支給（ボーナス）
- 地域手当：佐賀県は基本的に支給なし
休暇制度
- 年次有給休暇：年20日（繰越可能）
- 夏季休暇、結婚休暇、出産休暇、忌引休暇など
- 育児休業・介護休業制度も充実
福利厚生
- 共済組合による医療・年金制度
- 職員宿舎（若手職員向けに一定期間利用可能）
- 充実した研修制度・自己啓発支援
- 職員互助会による各種福利厚生事業
給与水準は、都道府県の中では標準からやや低めの水準です。地域手当が支給されないため、初任給は他県に比べてやや低く見えますが、佐賀県は生活コストが非常に安く、特に住居費は都市部の半分以下で済むため、実質的な生活水準は決して悪くありません。民間企業と比較すると初任給はやや控えめですが、年功序列で着実に昇給していくため、長期的に見れば安定した収入が得られます。また、福利厚生が充実しているため、トータルでの待遇は魅力的です。
採用試験の内容
佐賀県庁の採用試験は、以下の流れで実施されます。
1次試験（筆記試験）
- 教養試験：一般知識（社会科学、人文科学、自然科学）と一般知能（文章理解、判断推理、数的処理など）
- 専門試験：行政職の場合、政治学、行政学、憲法、民法、経済学など
2次試験
- 論文試験：県政課題や時事問題について、800字〜1,000字程度で論述
- 適性検査：性格検査など
3次試験
- 個別面接：志望動機、自己PR、これまでの経験、佐賀県の政策に関する質問など
最終倍率の傾向
佐賀県庁の採用試験倍率は、職種や年度によって変動がありますが、行政職（大卒程度）の最終倍率は概ね3〜6倍程度で推移しています。全国的に見ると比較的低めの水準であり、しっかりとした対策を行えば十分に合格を目指せるレベルです。
面接・論文で問われやすい政策テーマ
- ICT利活用の推進
- 陶磁器産業の振興
- 農林水産業の振興（佐賀牛、佐賀海苔など）
- 移住・定住の促進
- 企業誘致の推進
- 観光振興の推進
- 子育て支援の充実
- 医療・福祉の充実
- 防災・減災対策
- 脱炭素社会の実現
これらのテーマについて、佐賀県の現状や課題、県が取り組んでいる施策を把握した上で、自分なりの考えを整理しておくことが重要です。単に知識を述べるだけでなく、「なぜ自分がこの課題に取り組みたいのか」「佐賀県職員としてどう貢献したいのか」という想いを込めて語れるようにしましょう。
志望動機を作るコツ（佐賀県庁編）
佐賀県庁の志望動機を作成する際のポイントを解説します。
1. ICT利活用の先進性を理解する
佐賀県の最大の特徴は、「ICT利活用日本一」を目指し、全国に先駆けた取り組みを行っていることです。この先進性への理解と共感を示しましょう。
2. 「小ささ」を強みと捉える
人口約81万人という小規模県だからこそ、意思決定が早く、新しいことに挑戦しやすいという強みを理解しましょう。
3. 伝統産業への理解を示す
有田焼、伊万里焼などの伝統的な陶磁器産業は、佐賀県の大きな特徴です。これらへの理解を示すことが効果的です。
4. 地域課題への問題意識を示す
佐賀県が抱える課題（人口減少、産業の競争力強化、福岡市との関係など）を具体的に挙げ、それに対する問題意識を示しましょう。
5. 佐賀県ならではの特性を活かす
「なぜ佐賀県なのか」を明確にすることが最も重要です。ICT利活用、陶磁器、農水産物、福岡市に近い立地など、佐賀県特有の要素に触れ、他の自治体ではなく佐賀県を志望する理由を説得力を持って説明しましょう。
志望動機の例文
私が佐賀県庁を志望する理由は、小規模県だからこそできる先進的な取り組みに挑戦し、全国のモデルとなる政策を創りたいと考えたからです。
私は佐賀で生まれ育ち、幼い頃から佐賀の魅力を感じてきました。大学で行政学を学ぶ中で、佐賀県が「ICT利活用日本一」を目指し、県庁業務のクラウド化やオープンデータの推進など、全国に先駆けた取り組みを行っていることを知りました。人口約81万人という小規模県でありながら、全国をリードする政策を展開している。その挑戦的な姿勢に強く惹かれました。
特に興味を持ったのは、県庁業務のクラウド化です。ゼミで佐賀県の取り組みについて研究しましたが、当時は「自治体の基幹システムをクラウドに移行するのは困難」という声が大勢でした。しかし、佐賀県は全国初の試みに挑戦し、成功させました。大幅なコスト削減と業務効率化を実現し、他の自治体のモデルにもなっています。小規模県だからこそ、意思決定が早く、新しいことに挑戦しやすい。そして、成功すれば全国のモデルになる。この可能性に強く魅力を感じました。
また、「県庁をベンチャー企業に」という知事の方針にも共感しました。前例にとらわれず、職員の自由な発想を歓迎する。若手職員が提案した施策が実際に採用される。こうした風土は、公務員として働く上で非常に魅力的だと思います。
一方で、佐賀県は有田焼や伊万里焼という400年以上の伝統を持つ陶磁器産業もあります。私は大学の夏休みに有田を訪れ、陶磁器工房を見学しました。職人の方々が丁寧に作品を作る姿に感動し、この伝統産業を守り、発展させることの重要性を感じました。伝統と革新が共存する佐賀県で、両方に携わることができることも大きな魅力です。
また、佐賀県は佐賀牛、佐賀海苔など、全国に誇れる農水産物があります。祖父母が玉ねぎ農家で、佐賀平野の肥沃な土地で育てた玉ねぎが全国に出荷される姿を誇りに思っていました。こうした農水産物のブランド力を高め、生産者の方々を支える仕事にも携わりたいと考えています。
私は県職員として、特にICT利活用の推進や産業振興の分野で貢献したいと考えています。小規模県だからこそできる挑戦を続ける。前例にとらわれず、新しい価値を創造する。そして、佐賀県の成功事例を全国に発信する。こうした仕事にやりがいを感じ、県民が誇りを持って暮らせる佐賀県の実現に貢献したいと強く願っています。
まとめ
佐賀県庁の特徴を整理すると、以下の点が挙げられます。
- 「ICT利活用日本一」を目指す先進的な取り組み
- 小規模県ゆえの意思決定の早さと挑戦しやすい環境
- 「県庁をベンチャー企業に」という前例にとらわれない風土
- 有田焼、伊万里焼などの伝統的な陶磁器産業
- 佐賀牛、佐賀海苔など全国ブランドの農水産物
- 福岡市に近い立地という地理的優位性
- 穏やかで協調性が高く、自由な発想を歓迎する職員文化
- 若手のうちから責任ある仕事を任される環境
公務員試験の準備では、筆記試験の勉強と並行して自治体研究を深めることが合格への近道です。特に面接では、「なぜ佐賀県なのか」という問いに対して、自分の言葉で説得力を持って答えられるかが評価されます。
志望動機を考える際は、県の施策を羅列するのではなく、佐賀県の地域特性や課題を理解した上で、それに対する自分の想いや貢献したい分野を明確に語ることが重要です。ICT利活用をどう推進するのか、伝統産業をどう発展させるのか、小ささをどう強みに変えるのか。あなた自身の経験や価値観と、佐賀県が目指す方向性を結びつけることで、オリジナリティのある志望動機が完成します。
自治体研究と受験勉強の両立は簡単ではありませんが、志望先への理解を深めることは、勉強のモチベーション維持にもつながります。この記事が、あなたの佐賀県庁研究の一助となれば幸いです。小さくても先進的な佐賀県で、一緒に働ける日を楽しみにしています。
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