国家一般職の人物試験はA〜Eの5段階で評価されます。E評価はほかの試験種目の成績にかかわらず不合格となり、A〜D評価は各試験種目の標準点を合計して最終合格者が決まります。評価ごとの得点と合格の条件は、受験年度の人事院の案内で確認してください。
この記事では、人事院面接の評価の仕組み・各評価の特徴・B評価以上を取るために知っておくべきことを解説します。評価の仕組みを正確に理解することが、対策の方向性を正しく設定する出発点になります。
- 人事院面接の評価の仕組みと最終合格への影響
- A〜E評価それぞれの特徴
- C評価とB評価の差を生む要因
- B評価以上を取るための準備の方向性
- 評価を下げる行動・言動のパターン
人事院面接の評価の仕組み
国家一般職の人事院面接は、A・B・C・D・Eの5段階で評価されます。各評価には点数が設定されており、この点数が筆記試験(1次試験)の点数と合算されて最終合格の順位が決まります。
| 評価 | 位置づけ | 最終合格への影響 |
|---|---|---|
| A評価 | 最も高い評価 | 最終合格の順位が大きく上がる |
| B評価 | 高評価・目標ライン | 最終合格を大きく後押しする |
| C評価 | 5段階の中間評価 | 筆記試験の点数次第で合否が変わる |
| D評価 | 低評価 | 筆記試験で高得点を取らないと最終合格は難しい |
| E評価 | 最低評価 | 一発不合格(筆記の点数に関わらず) |
評価別の人数分布は年度によって異なります。C評価でも筆記試験の点数が高ければ最終合格できる場合がありますが・B評価以上を取ることで最終合格の可能性が大幅に上がります。逆にD評価になると・筆記試験で相当の高得点を取らないと最終合格は難しくなります。E評価は筆記試験の点数に関わらず一発不合格になるため、絶対に避けなければなりません。
面接評価が筆記試験と合算されるという仕組みを理解すると、論文編・面接対策に同じくらいの力を入れることの重要性が見えてきます。筆記試験で高得点を取りながら面接でB評価以上を取ることが、最終合格に向けた準備の一つです。
評価の割合(分布)と不合格になる評価
「B評価は何割くらい?」「D評価の割合は?」と気になる方は多いですが、評価ごとの人数の割合は公表されていません。人事院が公表している「合格者の決定方法」では、人物試験の評価結果が正規分布するとみなして、各評価の標準点を計算するとされています。つまり、真ん中のC評価を中心に点数が決まる仕組みです。
また、不合格になる評価は試験によって違います。
- 国家一般職(大卒程度):E評価は不合格です。A〜D評価の人が、全試験種目の標準点の合計で最終合格を判定されます。
- 国税専門官:C評価が基準で、D評価・E評価は不合格です(詳しくは国税専門官のD・E評価の記事)。
同じ「人事院面接」でも、試験によって不合格になる評価が違います。受験する試験の「合格者の決定方法」を、人事院の試験案内のページで必ず確認してください。
人事院面接はコンピテンシー評価型面接
評価の仕組みを理解するうえで、人事院面接がどんな形式の面接かを正確に把握することが重要です。国家一般職の人事院面接は「コンピテンシー評価型面接」を採用しています。
コンピテンシーとは「行動特性」のことです。コンピテンシー評価型面接とは「過去の行動から・未来の仕事ぶりを予測する面接」です。面接官が見ているのは「何をしたか」という行動の結果ではなく、「なぜそうしたか・どう考えたか」という思考の過程です。
この形式を知らないまま「想定質問を暗記して完璧な答えを準備する」という対策をしている受験生が、深掘り質問に詰まってC評価に留まります。コンピテンシー面接の構造を理解して「思考の深さを語る準備」をしている受験生が、B評価以上を取ります。評価の差は能力の差ではなく・準備の方向性の差です。
以下の「評価ごとの特徴」は公式の採点基準を示すものではなく、回答を振り返るための編集上の例です。特定の話し方だけでB評価以上が決まるわけではありません。制度上の合格判定は人事院の合格者決定方法で確認できます。
各評価の特徴
A評価の特徴
A評価を取る受験生には共通した特徴があります。コンピテンシー面接の構造を完全に理解したうえで・自分の思考の深さを自然に語れる状態にあることです。
具体的には以下の点が共通しています。
- 深掘り質問が来るたびに・さらに豊かに語れる「なぜ」の深さを持っている
- 自分の行動特性を自分の言葉で明確に言語化できる
- 志望動機の3層構造(なぜ公務員か・なぜ国家公務員か・入庁後に何をしたいか)が完全に整っている
- 面接官との会話のキャッチボールが自然にできている
- 関心事項について自分の意見を根拠とともに語れる
A評価の受験生は「答えを準備している」というより「自分の思考を自然に語れる状態になっている」という印象を面接官に与えます。
B評価の特徴
B評価は目標とすべき評価ラインです。A評価との差は「思考の深さの言語化の精度」にあります。B評価の受験生はコンピテンシー面接の構造を理解しており・「なぜそうしたか」を語れますが・行動特性の言語化やより深い掘り下げに若干の課題がある状態です。
- 「気づき→判断→行動」という思考の過程を語れている
- 志望動機の3層構造が整っている
- 深掘り質問への対応ができている(一部詰まる場面があっても立て直せる)
- 自己理解が深く・自分の強みと弱みを正直に語れている
C評価の特徴
C評価は5段階の中間にあたる評価です。「準備はしてきたが・コンピテンシー面接の構造に沿った回答ができていない」という状態がC評価の典型です。
- 志望動機・ガクチカは準備できているが「何をしたか」の報告で終わっている
- 深掘り質問が来ると詰まる場面がある
- 関心事項について現状説明はできるが自分の意見が薄い
- 回答全体を通じて「なぜそうしたか」という思考の過程が見えにくい
C評価とB評価の差は紙一重です。コンピテンシー面接の構造を理解して・「気づき→判断→行動」という思考の過程を語れるようにするだけで・C評価からB評価に上がることが十分に可能です。
D評価の特徴
D評価は準備不足・あるいは準備の方向性が根本的にずれている状態です。
- 志望動機が「安定しているから」だけで終わっている
- 深掘り質問にほとんど答えられない
- 回答が一方的で会話のキャッチボールが成立していない
- 関心事項について何も語れない
- 自己PRに具体的なエピソードが全くない
D評価になると・筆記試験で相当の高得点を取らない限り最終合格は難しくなります。D評価を避けるためには・コンピテンシー面接の構造を理解した正しい方向性での準備が必要です。
C評価とB評価の差を生む要因
多くの受験生が気になるのが「C評価とB評価の差はどこで生まれるか」という点です。この差は能力の差ではありません。以下の3点の準備の差です。
差① 「なぜ」の深さ
C評価の回答は「何をしたか・どんな結果になったか」という行動と結果の報告で終わることが多いです。B評価の回答は「なぜその行動を選んだか・どう考えて動いたか」という思考の過程が含まれています。この「なぜ」の有無が評価の差を生む最大の要因です。
差② 深掘りへの耐性
コンピテンシー面接では深掘り質問が必ず来ます。C評価の受験生は深掘り質問が来ると詰まります。暗記した答えの先に語れる内容がないからです。B評価の受験生は深掘り質問が来るたびにさらに豊かに語れます。「なぜを3回掘り下げた答え」を持っているからです。
差③ 自己理解の深さ
B評価を取る受験生は「自分はどういう思考の癖を持つ人か」を自分の言葉で言語化できます。「この経験を振り返ると・私には〜という行動の癖があります」という行動特性の言語化が・面接官に「この受験生は自己理解が深い」という印象を与えます。C評価の受験生はエピソードを語れても・そこから見えてくる自分の特性を言語化できていないことが多いです。
B評価以上を取るための準備の方向性
B評価以上を取るために最も重要な準備は一つです。「コンピテンシー面接の構造を理解して・思考の深さを語れる状態にすること」です。
具体的な準備の手順は以下の通りです。
- STEP1:コンピテンシー面接の構造を理解する…「何を言うか」ではなく「どう考えたかを語る構造」が評価されることを理解する
- STEP2:エピソードを「気づき→判断→行動」で組み立てる…自分のエピソードについて「なぜそうしたか」を3回掘り下げておく
- STEP3:行動特性を言語化する…エピソードから見えてくる「自分の行動の癖」を自分の言葉で定義する
- STEP4:声に出して練習する…頭の中で整理できていても声に出すと言葉が出てこないことがある。録音して聞き直す練習が効果的
- STEP5:深掘り質問への備えを確認する…「なぜを3回掘り下げた答え」を声に出して確認する
評価を下げる行動・言動のパターン
準備の方向性に加えて・評価を下げる行動・言動のパターンを知っておくことも重要です。
- 暗記した回答を一方的に話し続ける(会話のキャッチボールができない)
- 深掘り質問が来るたびに話が変わる(最初の回答と深掘り後の回答が矛盾する)
- 「特にありません」という回答を多用する(自己認識ができていない印象を与える)
- 関心事項で自分の意見を全く言えない(「難しい問題だと思います」だけで終わる)
- 志望動機が「安定しているから」だけで終わっている
- 声が小さく・目線が下を向いたまま話し続ける
- 逆質問で「特にありません」と答える
これらのパターンは、コンピテンシー面接の構造を理解して正しい準備をすれば、ほとんど防ぐことができます。
人事院面接を実際に受けた人の記録は、姉妹サイト「公務員試験データベース」の国家一般職(大卒程度)の体験記と面接で聞かれた質問で読めます。予備校に通って国家一般職(大卒程度)に合格した人の体験記や国家一般職(大卒程度)に完全独学で合格した人の体験記を読むと、面接に向けてどう準備したかが具体的に分かります。
逆質問で評価を下げないために
人事院面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれることがあります。逆質問だけで評価が決まるわけではありませんが、「特にありません」で終わると意欲が伝わりにくくなります。調べれば分かることではなく、仕事への関心が伝わる質問を1〜2個用意しておきましょう。具体的な質問例は公務員面接の逆質問でまとめています。
まとめ
人事院面接の評価の仕組みとB評価以上を取るポイントを整理します。評価はA〜Eの5段階で・評価結果は正規分布するとみなされてC評価が中心となり・目標はB評価以上です。C評価とB評価の差は能力の差ではなく「なぜの深さ・深掘りへの耐性・自己理解の深さ」という準備の差です。
人事院面接はコンピテンシー評価型面接であり「何を言うか」ではなく「どう考えたかを語る構造」が評価されます。この構造を理解して準備することが、人物試験の準備に役立ちます。人事院面接の採用情報・評価の詳細は人事院の公式サイトで確認してください。
この記事で触れたコンピテンシー面接の構造・合格者の回答の型・設問別の頻出質問と答え方・深掘り質問への対処法まで約38,000字で完全解説した記事を限定公開しています。「何を言うか」ではなく「どう考えたかを語る構造」を身につければ、A・B評価を取るための準備の方向性が根本から変わります。
よくある質問
Q. C評価でも最終合格できますか?
はい。C評価でも筆記試験の点数が高ければ最終合格できる場合があります。ただしC評価とB評価では最終合格の順位に大きな差が生まれます。B評価以上を目標として準備することで・最終合格の可能性が大幅に上がります。
Q. 人事院面接の評価はいつわかりますか?
人事院面接の評価は最終合格発表とともに確認できます。ただし評価の詳細な内訳は個別には通知されない場合があります。最新の情報は人事院の公式サイトで確認してください。
Q. A評価を取るにはどうすればいいですか?
A評価を取るためには・コンピテンシー面接の構造を完全に理解して・自分の思考の深さを自然に語れる状態にすることが基本です。特に「行動特性の言語化」という・自分の行動の癖を自分の言葉で定義できることがA評価とB評価の差を生みます。深掘り質問が来るたびにさらに豊かに語れる「なぜの深さ」を準備することが重要です。
Q. 面接官3名はどんな人ですか?
面接官は複数名ですが、どのような立場の人が担当するかは公表されていません。誰が面接官であっても見られるのは、経験を具体的に語れるか、深掘りされても自分の考えを説明できるかという点です。面接官の立場を気にするより、話す内容の準備に時間を使いましょう。
Q. 筆記試験の点数と面接評価はどちらが重要ですか?
どちらも重要です。筆記試験の点数と面接評価は合算されて最終合格の順位が決まるため、一方だけを重視するのではなくバランスよく準備することが基本です。ただし面接評価はB評価以上を取ることで大きく順位が上がるため、筆記試験対策と並行した面接対策を早めに始めることをおすすめします。