はじめに
公務員試験において、志望する自治体の特性を深く理解することは、面接での説得力を大きく左右します。都道府県庁は広域的な行政課題に取り組み、市町村を支援する役割を担っているため、その業務範囲は極めて広く、表面的な理解では本質を捉えることができません。
徳島県庁で働いて実感するのは、この県が持つ「伝統と革新の融合」です。400年の歴史を持つ阿波おどり、世界に誇る藍染め、豊かな自然といった伝統的な魅力を持ちながら、サテライトオフィス誘致や消費者行政の先進県として、全国に先駆けた取り組みにも挑戦しています。こうした環境で、地域の個性を活かしながら新しい価値を創造できることが、県職員として働く大きなやりがいです。
この記事では、徳島県庁を志望する受験生の皆さんに向けて、組織の実態、業務の特徴、採用試験の傾向、そして実際に働く職員のリアルな声まで、詳細にお伝えします。自治体研究を通じて、あなた自身の志望動機を確立していきましょう。
徳島県の基本情報と組織概要
徳島県は四国の東部に位置し、紀伊水道・太平洋に面した自然豊かな県です。人口は約72万人で、県庁所在地は徳島市。阿波おどり、鳴門の渦潮、祖谷のかずら橋など、独自の観光資源に恵まれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 人口 | 約72万人 |
| 県庁所在地 | 徳島市 |
| 職員数 | 約3,200人（知事部局等） |
| 予算規模 | 一般会計約5,000億円 |
| 主要産業 | 製造業（LED、医薬品）、農業、観光業 |
徳島県庁の組織は、知事直轄の政策創造部をはじめ、経営戦略部、未来創生文化部、危機管理環境部、保健福祉部、商工労働観光部、農林水産部、県土整備部、教育委員会などで構成されています。特徴的なのは、「vs東京」を掲げた地方創生や、「とくしま回帰」の推進など、独自色の強い政策を展開していることです。
県内には東部、南部、西部の3つの総合県民局があり、それぞれの地域特性に応じた行政サービスを提供しています。また、保健所、土木事務所、農林水産事務所など、多様な地域機関が配置されており、職員の多くはキャリアの中でこれらの機関も経験します。
徳島県庁の仕事の魅力は、「小さくても尖った政策」に挑戦できることです。私は入庁後、政策創造部に配属され、サテライトオフィス誘致を担当しました。徳島県は全国に先駆けて都市部のIT企業などを誘致する取り組みを始め、特に西部の美波町や神山町では多くの企業が進出しています。過疎地域にサテライトオフィスを誘致するという発想は、当時は画期的でした。企業の方々と直接対話しながら、徳島の魅力をPRし、実際に進出につながったときは大きなやりがいを感じました。その後、西部の総合県民局で地域振興を担当しましたが、祖谷地域の美しい自然や伝統文化に触れ、徳島の奥深さを実感しました。徳島県は人口規模は小さいですが、だからこそ小回りが利き、新しいことに挑戦しやすい環境があります。職員一人ひとりの裁量も大きく、若手のうちから責任ある仕事を任されることも多いです。
徳島県は、東部の徳島市周辺に人口が集中している一方、南部や西部の山間部では人口減少と高齢化が急速に進んでいます。また、関西圏に近い立地を活かし、大阪との結びつきが強いのも特徴です。LED、医薬品などの先端産業から、伝統産業まで、多様な産業が共存しています。
徳島県庁の業務の特徴
徳島県庁の業務は多岐にわたりますが、徳島県ならではの特徴的な分野を中心に紹介します。
サテライトオフィス誘致・地方創生分野
徳島県の最大の特徴は、全国に先駆けてサテライトオフィス誘致に取り組んできたことです。神山町や美波町など、過疎地域にIT企業などのサテライトオフィスを誘致し、地域活性化につなげています。この取り組みは全国的にも注目され、「徳島モデル」として他自治体の参考にもなっています。
消費者行政の推進分野
徳島県は「消費者行政の先進県」を目指しており、消費者庁の消費者行政新未来創造オフィスを誘致しました。消費者教育の充実、消費者トラブルの未然防止、エシカル消費の推進など、全国をリードする取り組みを展開しています。
LEDバレイ構想の推進分野
徳島県はLED（発光ダイオード）産業の集積地であり、「LEDバレイ構想」を推進しています。LED関連企業の集積、技術開発支援、LED応用製品の開発など、次世代産業の育成に取り組んでいます。
阿波おどり・文化振興分野
400年の歴史を持つ阿波おどりは、徳島県を代表する文化資源です。阿波おどりを核とした観光振興、文化の継承・発展、国内外への発信など、文化を活かした地域づくりを推進しています。
農林水産業振興分野
徳島県は「すだち」の生産量日本一であり、また鳴門金時、阿波尾鶏、鳴門わかめなど、特色ある農水産物があります。これらのブランド化、担い手の育成、6次産業化の推進に取り組んでいます。
観光振興分野
鳴門の渦潮、祖谷のかずら橋、大歩危・小歩危など、独自の観光資源を活かした観光振興に力を入れています。特に、体験型観光やインバウンド誘致に注力しています。
南海トラフ地震への備え分野
徳島県は南海トラフ地震で大きな被害が想定されており、防災・減災対策は県政の最重要課題です。津波対策、避難体制の整備、インフラの耐震化など、総合的な対策を推進しています。
中山間地域・過疎対策分野
県土の約8割が中山間地域であり、その維持・活性化は重要課題です。移住・定住促進、集落支援、生活インフラの維持など、総合的な施策を展開しています。
私は現在、未来創生文化部で移住・定住促進を担当していますが、徳島県の移住施策のユニークさを日々実感しています。「とくしま回帰」をキャッチフレーズに、都市部からのUIJターンを積極的に推進しています。特に、サテライトオフィスと連携した移住促進は、徳島ならではの強みです。IT企業のサテライトオフィスで働きながら、徳島の豊かな自然の中で暮らす。こうしたライフスタイルに魅力を感じる方が増えています。先日、東京から神山町に移住した若い家族に話を聞きましたが、「仕事も自然も両立できる環境が素晴らしい」と言っていただけました。移住者の方々が地域になじみ、新しいコミュニティを形成している姿を見ると、本当にやりがいを感じます。徳島県は規模が小さいからこそ、一人ひとりの移住者に寄り添った支援ができます。県庁の仕事は、異動で様々な部署を経験できるため、幅広い視野が養われます。
徳島県の代表的な政策・取り組み事例
徳島県が現在重点的に取り組んでいる主な政策を紹介します。これらは面接でも頻出のテーマですので、しっかり理解しておきましょう。
1. vs東京「とくしま回帰」総合戦略の推進
徳島県は「vs東京」を掲げ、東京一極集中に対抗する地方創生を推進しています。「とくしま回帰」をキーワードに、移住・定住促進、サテライトオフィス誘致、関係人口の創出など、総合的な施策を展開しています。
2. サテライトオフィスプロジェクトの推進
全国に先駆けて取り組んできたサテライトオフィス誘致を、さらに加速させています。神山町、美波町をはじめ、県内各地にIT企業などのサテライトオフィスが進出し、地域活性化と雇用創出につながっています。「徳島モデル」として全国から注目されています。
3. 消費者行政新未来創造の推進
消費者庁の「消費者行政新未来創造オフィス」を徳島県に誘致し、消費者行政の先進県を目指しています。消費者教育の充実、エシカル消費の推進、消費者被害の防止など、全国をリードする取り組みを展開しています。
4. LEDバレイ構想の推進
LED産業の集積を活かし、「LEDバレイ構想」を推進しています。LED関連企業の誘致、技術開発支援、LED応用製品の開発、人材育成など、次世代産業の育成に取り組んでいます。
5. 南海トラフ巨大地震への備え
県民の命を守る最重要課題として、津波避難施設の整備、避難路の確保、防災教育の推進など、総合的な防災・減災対策を展開しています。「津波から命を守るための10ヵ条」を策定し、県民への啓発にも力を入れています。
6. 阿波おどりの振興
400年の伝統を持つ阿波おどりを、観光振興や文化振興の核として位置づけています。阿波おどりの魅力発信、後継者育成、国内外への展開など、伝統文化を活かした地域づくりを推進しています。
7. もうかる農林水産業の実現
すだち、鳴門金時、阿波尾鶏などのブランド力強化を図っています。また、スマート農業の導入、担い手の育成、6次産業化の推進など、農林水産業の成長産業化に取り組んでいます。
8. 観光誘客の推進
鳴門の渦潮、祖谷のかずら橋、大歩危・小歩危など、個性的な観光資源を活かした誘客を推進しています。特に、体験型観光の充実、インバウンド対応の強化、周遊観光の促進に力を入れています。
9. 健康づくりと医療・福祉の充実
健康寿命の延伸、地域医療の確保、介護体制の整備など、県民の健康と福祉の向上に取り組んでいます。特に、糖尿病対策や認知症対策に力を入れています。
10. 子育て支援の充実
少子化対策として、結婚・妊娠・出産・子育ての各段階で切れ目ない支援を提供しています。保育の質の向上、子ども医療費の助成、ワークライフバランスの推進など、多角的な施策を展開しています。
これらの政策は、いずれも徳島県の持続可能な発展と、県民の暮らしの質の向上を目指すものです。小規模県だからこそ、先進的な取り組みにチャレンジできることが徳島県の特徴です。
勤務環境・職員文化
徳島県庁での働き方や職場の雰囲気について、実際の経験を踏まえて紹介します。
異動サイクル
若手職員は概ね2〜4年程度で異動することが多く、本庁と地域機関を交互に経験しながらキャリアを積んでいきます。徳島県は比較的コンパクトな県域で、どの地域機関に配属されても通勤圏内であることが多く、転居を伴う異動は比較的少ないです。中堅以降は専門性や適性を考慮した配置も行われますが、基本的にはジェネラリストとしての育成方針です。
働き方改革の取り組み
近年、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みが進んでいます。テレワークの活用、フレックスタイム制度、時間外勤務の削減など、働きやすい職場環境づくりに力を入れています。ただし、部署や時期によって繁忙度に差があり、予算編成期や議会開会中、災害対応時、阿波おどり期間などは残業が増えることもあります。
職員文化の特色
徳島県庁の職員は、全体として真面目で温厚なタイプが多い印象です。小規模県ゆえに職員間の距離が近く、アットホームな雰囲気があります。また、新しいことに挑戦する風土があり、前例にとらわれない発想を歓迎する文化があります。「vs東京」という言葉に象徴されるように、地方から全国に発信するという気概を持った職員も多いです。
職場の雰囲気は非常に風通しが良く、上司や先輩に気軽に相談できる環境です。若手のうちから責任ある仕事を任されることも多く、成長の機会が豊富にあります。
研修制度
新規採用職員研修をはじめ、階層別研修、専門研修、自己啓発支援など、充実した研修体系が整備されています。また、国や他自治体への派遣研修などもあり、幅広い経験を積むことができます。特に、サテライトオフィスや消費者行政など、徳島県の先進的な取り組みに関する研修も充実しています。
キャリアパス
徳島県庁では、ジェネラリストとして幅広い分野を経験するキャリアパスが基本ですが、専門性を活かした配置も行われます。また、管理職への昇進だけでなく、専門職として活躍する道もあります。近年は、女性職員の活躍推進にも力を入れており、育児と仕事の両立支援なども充実してきています。
職員の声（体験談）
職員A（入庁5年目・現在は政策創造部勤務）
私が徳島県庁を志望したのは、地方から全国に発信する先進的な取り組みに魅力を感じたからです。大学で地方創生を学ぶ中で、徳島県のサテライトオフィス誘致が全国的に注目されていることを知りました。過疎地域にIT企業を誘致するという発想は画期的で、実際に地域活性化につながっている事例を見て、強い関心を持ちました。
入庁後は政策創造部に配属され、サテライトオフィスの誘致推進を担当しました。東京や大阪の企業を訪問し、徳島の魅力をPRする日々でした。印象に残っているのは、あるIT企業が神山町にサテライトオフィスを開設したことです。その企業は「都会の喧騒を離れ、自然豊かな環境でクリエイティブな仕事がしたい」という思いを持っていました。実際に進出後、従業員の方々が「神山での暮らしが仕事の質を高めた」と言ってくださり、本当に嬉しかったです。
その後、西部の総合県民局での勤務を経験しました。祖谷地域は日本三大秘境の一つとして知られ、美しい自然と伝統文化が残っています。しかし、人口減少と高齢化が深刻で、集落の維持が大きな課題です。地域の方々と一緒に、観光資源を活かした活性化策を考える日々は、本当に貴重な経験でした。
現在は本庁に戻り、移住・定住促進を担当しています。「とくしま回帰」をキャッチフレーズに、都市部からのUIJターンを推進しています。徳島県は小さいですが、だからこそ小回りが利き、新しいことに挑戦しやすい環境があります。
受験生の皆さんへのアドバイスとしては、徳島県の先進的な取り組みをしっかり理解することが大切です。小規模県ながら、全国に先駆けた政策に挑戦している。その意義と魅力を、自分の言葉で語れるようにしてください。
職員B（入庁7年目・現在は農林水産部勤務）
私は農家の出身で、幼い頃から徳島の農業に親しんできました。実家はすだち農家で、すだちが全国に出荷される姿を誇りに思っていました。大学で農業経済を学び、行政の立場から徳島の農業を支えたいと思い、徳島県庁を志望しました。
入庁後は農林水産部に配属され、すだちの振興を担当しました。徳島県はすだちの生産量日本一で、全国シェアの約98%を占めています。このブランド力をさらに高めるため、海外輸出の促進や、新たな用途開発に取り組みました。印象に残っているのは、フランスのレストランにすだちを売り込んだことです。現地のシェフが「爽やかな香りと酸味が素晴らしい」と絶賛してくださり、実際に採用していただけました。徳島の農産物が世界で評価されることは、本当に嬉しいことです。
また、若手農業者の育成にも携わりました。高齢化が進む中、いかに若い世代に農業に興味を持ってもらうか。新規就農者の支援制度を作り、実際に県外から移住して農業を始める若者も出てきました。彼らが地域に定着し、活躍する姿を見ると、本当にやりがいを感じます。
その後、南部の総合県民局での勤務を経て、現在は本庁で農業政策の企画立案を担当しています。スマート農業の導入や、ブランド力の強化など、徳島の農業をさらに発展させるための施策を考えています。
徳島県庁の魅力は、地域に密着して仕事ができることです。生産者の方々と直接話をしながら、現場のニーズに応える政策を考える。そんな仕事にやりがいを感じています。
給料・年収・福利厚生
徳島県庁職員の給与や福利厚生について、具体的な数字を交えて説明します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 初任給（大卒行政職） | 約185,000円 |
| 平均年収（30歳モデル） | 約430万円〜480万円 |
| 平均年収（40歳モデル） | 約580万円〜630万円 |
| 平均年収（50歳モデル） | 約680万円〜730万円 |
主な手当
- 扶養手当：配偶者や子どもなどを扶養している場合に支給
- 住居手当：賃貸住宅に居住する場合に支給
- 通勤手当：通勤に要する費用を支給
- 時間外勤務手当：超過勤務に対して支給
- 期末・勤勉手当：年2回支給（ボーナス）
- 地域手当：徳島県は基本的に支給なし
休暇制度
- 年次有給休暇：年20日（繰越可能）
- 夏季休暇、結婚休暇、出産休暇、忌引休暇など
- 育児休業・介護休業制度も充実
福利厚生
- 共済組合による医療・年金制度
- 職員宿舎（若手職員向けに一定期間利用可能）
- 充実した研修制度・自己啓発支援
- 職員互助会による各種福利厚生事業
給与水準は、都道府県の中では標準からやや低めの水準です。地域手当が支給されないため、初任給は他県に比べてやや低く見えますが、徳島県は生活コストが非常に安く、特に住居費は都市部の半分以下で済むため、実質的な生活水準は決して悪くありません。民間企業と比較すると初任給はやや控えめですが、年功序列で着実に昇給していくため、長期的に見れば安定した収入が得られます。また、福利厚生が充実しているため、トータルでの待遇は魅力的です。
採用試験の内容
徳島県庁の採用試験は、以下の流れで実施されます。
1次試験（筆記試験）
- 教養試験：一般知識（社会科学、人文科学、自然科学）と一般知能（文章理解、判断推理、数的処理など）
- 専門試験：行政職の場合、政治学、行政学、憲法、民法、経済学など
2次試験
- 論文試験：県政課題や時事問題について、800字〜1,000字程度で論述
- 適性検査：性格検査など
3次試験
- 個別面接：志望動機、自己PR、これまでの経験、徳島県の政策に関する質問など
最終倍率の傾向
徳島県庁の採用試験倍率は、職種や年度によって変動がありますが、行政職（大卒程度）の最終倍率は概ね3〜6倍程度で推移しています。全国的に見ると比較的低めの水準であり、しっかりとした対策を行えば十分に合格を目指せるレベルです。
面接・論文で問われやすい政策テーマ
- vs東京「とくしま回帰」総合戦略
- サテライトオフィスプロジェクト
- 消費者行政の推進
- LEDバレイ構想
- 南海トラフ地震への備え
- 阿波おどりの振興
- 移住・定住の促進
- 農林水産業の振興（すだち、鳴門金時など）
- 観光誘客の推進
- 中山間地域の活性化
これらのテーマについて、徳島県の現状や課題、県が取り組んでいる施策を把握した上で、自分なりの考えを整理しておくことが重要です。単に知識を述べるだけでなく、「なぜ自分がこの課題に取り組みたいのか」「徳島県職員としてどう貢献したいのか」という想いを込めて語れるようにしましょう。
志望動機を作るコツ（徳島県庁編）
徳島県庁の志望動機を作成する際のポイントを解説します。
1. 先進的な取り組みへの理解を示す
徳島県の最大の特徴は、サテライトオフィス誘致や消費者行政など、全国に先駆けた取り組みを行っていることです。これらへの理解と共感を示しましょう。
2. 「vs東京」の意義を理解する
「vs東京」というキャッチフレーズに込められた、地方から全国に発信するという姿勢を理解し、共感を示すことが重要です。
3. 小規模県の強みを理解する
人口規模は小さいが、だからこそ小回りが利き、新しいことに挑戦しやすいという強みを理解しましょう。
4. 地域課題への問題意識を示す
徳島県が抱える課題（人口減少、中山間地域の維持、南海トラフ地震への備えなど）を具体的に挙げ、それに対する問題意識を示しましょう。
5. 徳島県ならではの特性を活かす
「なぜ徳島県なのか」を明確にすることが最も重要です。阿波おどり、藍染め、サテライトオフィスなど、徳島県特有の要素に触れ、他の自治体ではなく徳島県を志望する理由を説得力を持って説明しましょう。
志望動機の例文
私が徳島県庁を志望する理由は、地方から全国に発信する先進的な取り組みに携わり、新しい地方創生のモデルを創りたいと考えたからです。
私は大学で地方創生を学ぶ中で、徳島県のサテライトオフィス誘致が全国的に注目されていることを知りました。過疎地域にIT企業を誘致するという発想は、当時は画期的でした。ゼミで神山町を訪れた際、実際にサテライトオフィスで働く方々と話をする機会がありました。「都会の喧騒を離れ、自然豊かな環境で創造的な仕事ができる」と語る姿に、新しい働き方・暮らし方の可能性を感じました。この「徳島モデル」が、今では全国の自治体の参考になっています。
特に共感したのは、徳島県が掲げる「vs東京」という姿勢です。東京一極集中に対抗し、地方から新しい価値を発信する。この挑戦的な姿勢に強く惹かれました。小規模県だからこそ、前例にとらわれず、新しいことに挑戦できる。その環境で、私も地方創生の最前線に立ちたいと思いました。
また、徳島県は消費者行政の先進県を目指し、消費者庁のオフィスを誘致しました。こうした国の機関を地方に誘致する取り組みも、地方分散の観点から非常に意義深いと考えています。地方でも国レベルの仕事ができることを示すことは、若者の地方回帰を促す上でも重要です。
一方で、徳島県は南海トラフ地震で大きな被害が想定されており、防災対策は喫緊の課題です。県民の命を守るという重い責任がありますが、だからこそやりがいのある仕事だと考えています。
私は学生時代、徳島県の中山間地域でボランティア活動を行いました。過疎化が進む集落で、住民の方々と一緒に地域の魅力を再発見し、都市住民との交流イベントを企画しました。この経験を通じて、中山間地域には都会にはない豊かさがあることを実感しました。しかし同時に、生活インフラの維持の難しさも痛感しました。
私は県職員として、特にサテライトオフィス誘致や移住・定住促進の分野で貢献したいと考えています。徳島県の先進的な取り組みをさらに発展させ、全国のモデルケースとなる地方創生を実現したい。「vs東京」の精神で、地方から新しい価値を発信する。小さくても尖った政策で、徳島県の持続可能な発展に貢献したいと強く願っています。
まとめ
徳島県庁の特徴を整理すると、以下の点が挙げられます。
- サテライトオフィス誘致で全国をリード、「徳島モデル」として注目
- 消費者行政の先進県を目指し、消費者庁オフィスを誘致
- 「vs東京」を掲げ、地方から全国に発信する姿勢
- 阿波おどり、藍染めなど、独自の伝統文化
- LED産業など、先端産業の集積
- 小規模県ゆえの小回りの良さ、挑戦しやすい環境
- 真面目で温厚、新しいことに挑戦する職員文化
- 若手のうちから責任ある仕事を任される機会が豊富
公務員試験の準備では、筆記試験の勉強と並行して自治体研究を深めることが合格への近道です。特に面接では、「なぜ徳島県なのか」という問いに対して、自分の言葉で説得力を持って答えられるかが評価されます。
志望動機を考える際は、県の施策を羅列するのではなく、徳島県の地域特性や課題を理解した上で、それに対する自分の想いや貢献したい分野を明確に語ることが重要です。サテライトオフィスという先進的な取り組みをどう発展させるのか、伝統文化をどう活かすのか、中山間地域をどう維持するのか。あなた自身の経験や価値観と、徳島県が目指す方向性を結びつけることで、オリジナリティのある志望動機が完成します。
自治体研究と受験勉強の両立は簡単ではありませんが、志望先への理解を深めることは、勉強のモチベーション維持にもつながります。この記事が、あなたの徳島県庁研究の一助となれば幸いです。地方から全国に発信する徳島県で、一緒に働ける日を楽しみにしています。
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