こども家庭庁は、子どもに関する政策を一元的に担う司令塔として設置された省庁です。少子化対策・子育て支援・児童虐待防止・子どもの貧困対策・障害児支援・ひとり親家庭への支援という、子どもと家庭に関わる政策全体を所管しています。「子どもが安心して育てる社会を作りたい」「少子化という日本の最重要課題に行政として向き合いたい」という問題意識を持つ受験生が集まる省庁です。
こども家庭庁の最大の特徴は「子ども政策の縦割りを解消するために生まれた新しい省庁」という点です。これまで厚生労働省・内閣府・文部科学省に分散していた子ども関連政策を一元化し、「こどもまんなか」というビジョンのもとで子どもの視点に立った政策を推進することが設置の目的です。新しい省庁ならではの課題と可能性が共存する職場です。
この記事では、こども家庭庁を志望する受験生に向けて、組織の実態、業務の特徴、代表的な政策、働くリアル、採用試験・官庁訪問の傾向、志望動機の作り方まで徹底解説します。
- こども家庭庁の基本情報と組織概要
- こども家庭庁が担う業務の特徴(分野別)
- 代表的な政策・取り組み事例
- 勤務環境・職員文化のリアル
- 採用試験・官庁訪問の傾向と評価ポイント
- 志望動機を作るコツと例文
こども家庭庁の基本情報と組織概要
こども家庭庁は、子どもに関する政策を省庁横断的に推進するために設置された内閣府外局です。従来は厚生労働省・内閣府・文部科学省に分散していた子ども関連の政策・予算・権限を一元化し、「こどもまんなか」という理念のもとで子どもの最善の利益を最優先にした政策を展開します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設置年 | 2023年4月(こども家庭庁設置法に基づき設置) |
| 所在地 | 東京都千代田区霞が関3-2-5 |
| 主な所管分野 | 少子化対策・子育て支援・保育・児童虐待防止・子どもの貧困対策・障害児支援・ひとり親家庭支援・子どもの意見反映 |
| ビジョン | 「こどもまんなか」——子どもの視点に立ち、子どもの最善の利益を優先する |
| 公式サイト | こども家庭庁(cfa.go.jp) |
こども家庭庁の組織構成
| 部局・グループ | 主な所管業務 |
|---|---|
| 長官官房 | 組織の総括・予算・人事・こども大綱の策定・推進 |
| 成育局 | 妊娠・出産・乳幼児期・学童期の支援・保育・放課後児童クラブ・子どもの安全 |
| 支援局 | 児童虐待防止・社会的養護・障害児支援・ひとり親家庭支援・子どもの貧困対策・ヤングケアラー支援 |
こども家庭庁の採用の特徴
こども家庭庁は内閣府外局として設置されており、国家公務員試験(総合職・一般職)経由での採用が基本です。設立から日が浅く、厚生労働省・内閣府・文部科学省からの出向者と、こども家庭庁採用の職員が協働している組織体制です。子ども・子育て政策に高い専門性と熱意を持った職員が集まっています。
こども家庭庁が生まれた背景
こども家庭庁が設置された背景には「子ども政策の縦割り問題」があります。従来、子どもに関する政策は複数の省庁に分散していました。
| 政策分野 | 従来の担当省庁 | こども家庭庁設置後 |
|---|---|---|
| 保育・幼稚園 | 厚生労働省(保育)・文部科学省(幼稚園) | こども家庭庁(保育)・文科省(幼稚園)※連携強化 |
| 児童虐待防止 | 厚生労働省 | こども家庭庁に移管 |
| 少子化対策 | 内閣府(少子化担当)・厚生労働省 | こども家庭庁が中心となり推進 |
| 子どもの貧困対策 | 内閣府 | こども家庭庁に移管 |
| 障害児支援 | 厚生労働省 | こども家庭庁に移管 |
縦割りによって「同じ子どもの問題でも複数の省庁が別々に対応する」という非効率を解消し、子どもに関するすべての政策を一元的に推進することがこども家庭庁設置の核心的な目的です。
こども家庭庁の業務の特徴(分野別)
少子化対策・子育て支援分野
こども大綱・こども・子育て支援加速化プランの策定・推進、児童手当の拡充、保育の量的・質的充実、育児休業の取得促進支援、子育て世帯への経済的支援など、少子化という日本の最重要課題に総合的に対応する政策を担います。「異次元の少子化対策」という政府の最重要政策課題の中核を担う部局として、財務省・厚生労働省・文部科学省・経済産業省など複数の省庁との横断的な調整が日常的に必要です。
保育・幼児教育政策分野
保育所・認定こども園・地域型保育事業の整備支援・質の向上、保育士の処遇改善・確保、放課後児童クラブの整備・質の向上、子どもの事故防止対策など、乳幼児から学童期の子どもを支える保育・教育の基盤整備を担います。待機児童問題への対応・保育士不足という課題は依然として重要な政策テーマです。
児童虐待防止・社会的養護分野
児童虐待の早期発見・対応・防止、児童相談所の機能強化・人材育成、里親・特別養子縁組の推進、児童養護施設の質の向上、ヤングケアラー(家族の介護・世話を担う子ども)への支援など、困難な状況にある子どもを守り支える政策を担います。児童虐待による子どもの死亡事例は後を絶たず、社会的養護の充実は急務の政策課題です。
子どもの貧困対策分野
子どもの貧困対策大綱の推進、就学援助・給食費の支援、子ども食堂・学習支援の充実、ひとり親家庭への就労・生活支援、貧困の連鎖を断ち切るための教育支援など、貧困状態にある子どもと家庭を支える政策を担います。子どもの貧困率という指標の改善に向けた総合的な対策が求められています。
障害児支援分野
障害のある子どもへの療育・福祉サービスの充実、児童発達支援・放課後等デイサービスの質の確保、医療的ケア児への支援、インクルーシブ教育との連携など、障害のある子どもが地域で安心して育てる環境の整備を担います。
子どもの意見反映・権利擁護分野
こども基本法に基づく子どもの権利の推進、政策立案への子どもの意見の反映(こどもの声を聴く仕組みの整備)、子どものSOS相談体制の充実、いじめ・不登校対応との連携など、子どもが権利の主体として尊重される社会の実現を担います。「子どもを政策の客体ではなく主体として扱う」という視点がこども家庭庁の政策の根底にあります。
代表的な政策・取り組み事例
1. こども大綱の策定・推進
こども基本法に基づき、子どもと子育てに関する政策の基本的な方針を定める「こども大綱」を策定し、その推進を担っています。少子化対策大綱・子どもの貧困対策大綱・子ども・若者育成支援推進大綱という複数の計画を一本化し、縦割りを越えた一貫した政策推進を実現することがこども大綱の核心的な役割です。
2. こども・子育て支援加速化プランの実施
児童手当の拡充・保育の充実・育児休業の取得促進・こども誰でも通園制度の創設・ひとり親家庭への支援強化など、少子化対策の具体的な政策パッケージを推進しています。財源確保・各省庁との制度調整・地方自治体への周知・実施支援という多岐にわたる業務が伴います。
3. 児童虐待防止対策の強化
児童相談所の体制強化・人材育成支援、家庭支援の強化による虐待の未然防止、DV被害者支援との連携(DV被害者と子どもへの一体的支援)、要保護児童対策地域協議会の機能強化など、児童虐待の防止と被虐待児の保護・回復支援を総合的に推進しています。
4. こども誰でも通園制度の創設
保育所などに通っていない子どもでも、月一定時間までの保育サービスを利用できる「こども誰でも通園制度」の創設・普及を推進しています。親が働いているかどうかにかかわらず、すべての子どもが質の高い保育・幼児教育を受けられる機会の確保が目的です。
5. ヤングケアラー支援の推進
家族の介護・世話を担うことで学業や社会生活に支障が出ているヤングケアラーへの実態把握・早期発見・支援体制の整備を推進しています。学校・医療・福祉・地域が連携したヤングケアラーへの包括的な支援モデルの構築が政策課題です。
勤務環境・職員文化
新省庁ならではの「作る側」の経験
こども家庭庁は設立から日が浅い省庁であるため、組織・制度・政策の多くをゼロから作る段階にあります。若手のうちから「前例のない課題に向き合い、自分たちで答えを作る」という経験を得やすい環境があります。デジタル庁と同様に、新省庁ならではの「作る側」に立てるやりがいが特徴です。
省庁横断的な調整という仕事の特色
こども家庭庁の業務は、厚生労働省・文部科学省・内閣府・財務省・総務省など多くの省庁との連携・調整が日常的に必要です。子ども政策は社会保障・教育・地方行政・財政という複数の分野にまたがるため、「縦割りを越えた調整力」が求められます。内閣府の横断的な調整機能との類似性がありながら、「子ども・家庭」という明確な対象に絞り込まれていることがこども家庭庁の特徴です。
繁忙期と業務の特徴
国会開会中・予算編成期の繁忙度は他省庁と共通ですが、こども家庭庁は設置直後から少子化対策という最重要政策課題を担うため、制度設計・財源確保・法改正という大型の政策立案作業が継続的に発生しています。関係省庁との調整・有識者会議の運営・パブリックコメントの処理・地方自治体への周知という業務が重なる時期は特に繁忙となります。
職員文化の特色
こども家庭庁には「子どもの権利と幸せを本気で守りたい」という強い使命感を持つ職員が多い省庁です。厚生労働省・内閣府・文部科学省から出向した経験豊富な職員と、こども家庭庁採用の若手職員が協働しており、異なる省庁文化が混在するなかで新しい組織文化を作り上げている段階にあります。
職員の声(体験談)
職員A(入庁2年目・支援局勤務・行政職)
大学で社会福祉を専攻し、「児童虐待という深刻な問題に行政の立場から向き合いたい」という思いでこども家庭庁を志望しました。支援局で児童相談所の機能強化・人材育成支援を担当しています。
児童虐待による子どもの死亡事例が後を絶たない現実に、毎日強い緊張感を持ちながら仕事しています。全国の児童相談所が適切に機能するための人材育成・研修体制の整備・制度的な支援という仕事は、子どもの命に直結する行政の仕事です。新省庁ゆえの未整備な部分もありますが、「自分たちが制度を作っている」という当事者意識での仕事ができる環境がこども家庭庁の魅力です。
職員B(入庁1年目・成育局勤務・行政職)
少子化問題に強い関心を持ち、「子育て支援の制度を根本から設計する仕事がしたい」という思いでこども家庭庁を志望しました。成育局でこども誰でも通園制度の普及・支援体制の整備を担当しています。
「保育所に通っていない子どもにも、質の高い保育を届けたい」という新しい理念に基づく制度を地方自治体に普及させる仕事は、法律・予算・運用という三つをすべて理解しながら進める複雑な仕事です。こども家庭庁はまだ新しい省庁ですが、だからこそ「これからの子ども政策の方向性を自分たちで作っている」という実感があります。
給与・待遇・福利厚生
こども家庭庁職員の給与は人事院が定める給与体系に基づいて決まります。東京勤務が基本であり、地域手当が適用されます。最新の給与水準は人事院の公式サイトで確認してください。
主な手当と福利厚生
- 地域手当(東京勤務は高く設定)
- 扶養手当・住居手当・単身赴任手当
- 期末・勤勉手当(年2回)
- 超過勤務手当
- 国家公務員共済組合による医療・年金制度
- 育児休業・介護休業制度の整備(子ども政策を担う省庁として育休取得を積極的に推進)
- 厚生労働省・内閣府・文部科学省など関係省庁への出向制度
採用試験・官庁訪問の傾向
| 採用区分 | 試験・選考の流れ |
|---|---|
| 総合職(院卒・大卒程度) | 人事院試験(1次・2次)→官庁訪問(こども家庭庁)→内定 |
| 一般職(大卒程度) | 人事院試験(1次・2次)→官庁訪問(こども家庭庁)→内定 |
官庁訪問での評価ポイント
- 「なぜこども家庭庁か」という志望動機の深さと子ども・家庭への問題意識
- 少子化・保育・虐待防止・子どもの貧困など特定分野への具体的な関心
- 「こどもまんなか」というビジョンへの共感と理解の深さ
- 新省庁ならではの不確実性・変化への前向きな姿勢
- 「なぜ厚生労働省・内閣府・文部科学省ではなくこども家庭庁か」という問いへの答え
こども家庭庁の官庁訪問で最も重視されるのは「子ども・家庭への問題意識が本物かどうか」と「なぜ個別省庁ではなくこども家庭庁か」という問いへの答えです。縦割りを超えて子ども政策を一元的に推進するという設置理念への深い理解を示すことが評価に直結します。官庁訪問の準備は官庁訪問の準備と当日の流れをあわせて確認してください。
面接・官庁訪問で問われやすいテーマ
- 日本の少子化の現状と原因・対策の方向性
- こども大綱・こども基本法の意義と内容
- 「こどもまんなか」というビジョンへの理解
- 保育の量的・質的充実と保育士不足への対応
- 児童虐待防止のための社会的な仕組みの課題
- 子どもの貧困・格差問題への対応策
- ヤングケアラー問題への対応の方向性
- 障害のある子どもへのインクルーシブな支援
- 子どもの意見を政策に反映させる仕組みの整備
- こども家庭庁でやりたい仕事の具体的なイメージ
志望動機を作るコツ(こども家庭庁編)
1.「縦割り解消・一元化」という設置理念を起点にする
こども家庭庁の設置理由は「子ども政策の縦割りを解消するため」です。「厚生労働省でも児童虐待防止に携わることはできるが、保育・貧困・虐待・障害という複数の分野を横断して子ども政策全体を動かせるのはこども家庭庁だけ」という設置理念との接点を志望動機の核心に置くことが重要です。
2. 関心のある子ども政策分野を1〜2つ絞り込む
少子化・保育・虐待防止・貧困・障害児支援・ヤングケアラーという多様な分野から、自分が最も関心を持つ1〜2つの課題を選んで深掘りすることが志望動機の深さを作ります。「子ども全般に関心がある」より「児童虐待という問題に行政として向き合いたい」という具体性が評価に直結します。
3. 子ども・家庭への関心の原体験を語る
「保育士のアルバイトで子どもの貧困の実態を見た」「ヤングケアラーの問題をゼミで研究して問題意識を持った」「少子化問題を身近に感じて政策的な解決策を考えてきた」という個人的な原体験が志望動機の説得力を高めます。子どもへの関心が「本物であること」を示せる原体験を掘り起こすことが大切です。
志望動機の例文
私がこども家庭庁を志望する理由は、児童虐待という深刻な問題に、子ども政策の司令塔として総合的に取り組む仕事に携わりたいと考えたからです。
大学で社会福祉を専攻し、児童相談所の機能と限界について研究しました。児童虐待による子どもの死亡事例が繰り返される背景には、児童相談所の人材不足・専門性の不足・関係機関との連携不足という複合的な課題があります。この課題を解決するためには、児童相談所への支援・保護者支援・社会的養護の充実という複数の政策を一体的に推進する必要があります。縦割りを超えてこれらを一元的に担えるのがこども家庭庁です。
厚生労働省でも児童虐待防止に携わることはできますが、こども家庭庁は児童虐待防止だけでなく、その背景にある子どもの貧困・ひとり親家庭の困難・ヤングケアラー問題という複合的な課題を横断的に扱える組織です。「子どもに関わる政策を一元的に推進する」というこども家庭庁の設置理念こそが、この省庁を志望する核心的な理由です。
入庁後は支援局での児童相談所機能強化の支援を通じて現場の実態を学び、将来的には社会的養護の質の向上と虐待の未然防止という方向性で、子どもが安全に育つ社会の実現に全力で取り組みたいと考えています。
まとめ
こども家庭庁の特徴を整理すると、以下の点が挙げられます。
- 少子化対策・保育・虐待防止・子どもの貧困・障害児支援という「子ども政策の司令塔」として縦割りを超えた一元的な政策推進を担う
- 「こどもまんなか」というビジョンのもと、子どもの視点と最善の利益を最優先にした政策立案が基本姿勢
- 設立から日が浅い新省庁ならではの「制度・組織をゼロから作る経験」が若手から得られる
- 厚生労働省・内閣府・文部科学省など複数省庁との横断的な調整が日常的に求められる
- 「なぜ個別省庁ではなくこども家庭庁か」という設置理念への深い理解が官庁訪問の鍵になる
官庁研究を進める際は、こども大綱・こども基本法・こども・子育て支援加速化プランなどの政策文書をこども家庭庁公式サイトで確認してください。こども家庭庁の最新情報はこども家庭庁公式サイトで確認してください。官庁訪問の準備は官庁訪問の準備と当日の流れをあわせて確認してください。
よくある質問
Q. こども家庭庁と厚生労働省・内閣府の関係はどうなっていますか?
こども家庭庁は内閣府の外局として設置されており、従来厚生労働省・内閣府が担っていた子ども関連政策の多くが移管されています。児童虐待防止・障害児支援・ひとり親家庭支援・子どもの貧困対策は厚生労働省から、少子化対策の中核機能は内閣府からこども家庭庁に移管されました。保育・幼稚園については引き続き関係省庁との連携が必要な分野も残っています。
Q. こども家庭庁は新しい省庁ですが、組織が不安定ではないですか?
設立から日が浅いため制度・組織の整備が進んでいる段階であることは確かです。一方で少子化対策という政府の最重要政策課題を担う省庁として予算・権限・注目度は非常に高く、組織の存在意義は明確です。「ゼロから制度と組織を作る経験」を若手のうちから積める環境として前向きに捉えることができます。
Q. 社会福祉士・保育士などの資格は採用に有利ですか?
国家公務員採用試験経由での採用では、資格の有無は採用条件ではありません。ただし社会福祉・保育・障害福祉などの専門知識は、こども家庭庁での業務に直接活かせる場面が多くあります。資格取得の経験・関連分野でのアルバイト・ボランティア経験は、官庁訪問での志望動機を深める素材として有効に活用できます。
Q. こども家庭庁は転勤が少ないですか?
こども家庭庁の本部は東京(霞が関)であり、地方支分部局は設置されていません。地方自治体・児童相談所などへの出向が発生することはありますが、地方整備局などと比べると地方への転勤頻度は少ない傾向があります。ただし関係省庁(厚生労働省等)への出向は発生することがあります。
Q. こども家庭庁に向いている人はどんな人ですか?
子ども・家庭・少子化という課題への深い問題意識と使命感を持つ人、複数の省庁にまたがる政策調整という複雑な仕事にやりがいを感じる人、「こどもまんなか」というビジョンに心から共感できる人が向いています。また新省庁ならではの不確実性を前向きに受け入れ、前例のない課題に自分たちで答えを作ることに挑戦したい人に適した省庁です。